2005年9月14日チェザーニ訪問

2005/09/14
突撃インタビュー
 
2005年9月14日 ヴィンチェンゾ チェザーニ氏 Mr. Vincenzo Cesani レティッツァさん Ms.Letizia マリアルイーザさん Ms.Marialuisa

サンジミニャーノの赤ワインで初のトレビッキエリ受賞したチェザーニ社を訪問!

明け方に、アグリトゥーリズモの2階の窓から見たサンジミニャーノの風景
ルエンツォを1999ヴィンテージが直輸入してから5年。トスカーナを訪れるたびに訪ねるワイナリーは、行く度に樽が増えたり、機械を入れ替えたりしており、着々と前進を続けるワイナリーです。
特にチェザーニの、キャンティコッリセネージやヴェルナッチャは、地元での人気が非常に高く、すぐに地元の注文で売切れてしまうようなワインたちです。
今回、2005年4月のヴィニタリーで会って以来の再開。ヴィニタリーではあまり長く話ができなかったので、今回は2泊、チェザーニのアグリトゥーリズモに泊まり、びっしりとワイナリーを見る機会に恵まれました。
宿泊2日目に時間を頂戴して、畑やワイナリーの細部を見せてもらいました。

チンクエグラッポリ表彰状チェザーニは、サンジミニャーノ一のヴェルナッチャの造り手といわれるヴィンチェンゾチェザーニさんと、その娘レティッツァとルイーザが運営するワイナリーです。

イタリアワインガイド「ガンベロロッソ」ではサンジミニャーノの赤ワインで初のトレビッキエリ「最高の賞」をとったのもこのワイナリーのルエンツォ。
以降、ルエンツォは、イタリアソムリエ協会発行のドゥエミラヴィニでも高い評価を得ており、2001、2003年ヴィンテージとチンクエグラッポリ(最高の賞)の栄誉に輝いています。

ヴィンチェンゾ チェザーニ氏とアッピ「お父さん手に包帯巻かれているけど怪我かなにかされたんですか?」

レティッツァ「そうなの、畑の仕事中に転んで腕にひびが入って長引いているの。
父は大事な時期に仕事を手伝えないどころか、病院に連れて行ってもらったりと私たちの手を煩わしていることを気にしていて・・。明日から収穫が始まるんだけど、父は、ナーバスになっているみたい」

アッピ「働きもののお父さんらしいですね。早くよくなるといいですね。収穫も人手がかかるしね。」

収穫を待つヴェルナッチャ

レティッツァ「来週から本格的な収穫が始まるんだけど、この2週間雨が多かったから、収穫のタイミングを今見計らっているところ。
昨日はこの10日間で初めて雨が降らなかったの。
今から収穫できるときに収穫しちゃおうとみんな思っているけど、酸と糖がどんなふうに仕上がったか、サンプルとって、収穫のタイミングを判断しないと。」

アッピ「今は畑何ヘクタールになったんですか?」

レティッツァ「白ぶどう用の畑が9ヘクタール。この畑はヴェルナッチャの栽培に最適なの。
土地が冷えていてそれが香りを豊かにしてくれているのよ。
赤ぶどう用は6ヘクタール。サンジミニャーノの街から2kmいったところで、標高はもっと高いところ。全部で15ヘクタールになりました。」

ブドウ畑
アッピ「前回こちらに来たときは10ヘクタールだったから、増えてきましたね。」

レティッツァ「白ワインに適しているのは、昼は温度が高く、夜は低いというような、温度差の激しいところなのよね。赤は、石が多く熱を吸収して、夜もその熱が残って赤の味を濃縮させるの。私たちの畑はそういうところよ。発酵タンクを見てみましょうか?」

「今は2つのタンクを使用しています。白ワイン用のステンレスタンクと赤ワイン用のセメントタンクです。白ワインは18度~19度で発酵させるんだけどいかに低音に保つかが重要です。赤は28度~30度が上限。セメントタンクは分厚いので、一定に高い温度に保てます。」

白ワイン用ステンレスタンク

「最初から醸造の流れを説明すると、ぶどうはすべて手積みで選別を正確にしながら収穫します。
小さなバスケットに入れて1時間ごとにタンクに運びます。
白ぶどうで大切なのは、いかにそのまま運ぶかって言うこと。だから、小さいかごで頻繁に運ぶの。
ぶどうの香りに大切な要素は皮に入っているから、皮をつぶさずにプレスすることが大事なの。プレスも重要。このプレス機は、去年から入れたんだけど、ゴムボールみたいなのが中に入っていて、それが、空気で徐々に膨らむの。
そして手でつぶすようにやわらかくやわらかくぶどうをつぶせるの。
しかも、やわらかくつぶすから種をつぶすことはないの。
つまり、種から苦い成分は出ないってことなの。
プレス後種は完全な形で残るし、熟しきれないぶどうもそのまま残るから捨てるのよ。
白ワインに苦味をださないで、やわらかい味わいを作るのにとても大事なことよ。まだまだ、搾れるんだけど搾らない。
そうするとうちの90歳になるおばあちゃんが、『シエーテマッティ!シエーテマッティ!』と叫ぶのよ」

レティッツァさん
アッピ「シエーテマッティ?」

レティッツァ「あなたたちは気が狂ってる!っていうことよ」

アッピ「あぁ~~。シエーテマッティ!おもしろい~」

レティッツァ「そして、できたジュースはすぐにタンクで4度に冷やすの。
急に冷やすとある成分が固形化して下におちるので、12時間後にきれいに上と下に分かれるの。その上澄みを別のタンクに移して今度は18度に保つの。ステンレスタンク
この上澄みのきれいな部分で造るから、色が光って豊かな香りの質の高いワインができるのよ。
大体、最初に搾った量の70%の部分(上澄み)で、ワインを造っているのよ。残りの30%は自家用のワインにしてしまいます。」

アッピ「ゴムボールみたいなプレスってすごくやわらかいって言ってたけど、普通のプレス機と比べてどのくらいの違い?なの」

レティッツァさん

レティッツァ「そうねぇ。だいたい20%は少なく搾っているかな?」

アッピ「なるほど、しかも、そのうちの70%しかワインに使わないんだから(計算すると56%になっちゃう)・・・シエーテマッティっておばあちゃんが言うわけね(笑)」

レティッツァ「発酵タンクに入ってからは、18度に保って2週間。毎日それぞれのタンクの温度と糖度を見ているんだけど、18度っていう温度は、低いとこのぎりぎりの限界で、糖が少しづつアルコールに変わる温度なの 。」

アッピ「日本酒と一緒なんだね~。吟醸酒を造るときに日本の杜氏さんも同じことを言ってます。」

レティッツァ「え~。日本酒もそうなんだ。
2週間後、下に沈んだオリ以外の上澄みを移し変えて落ち着かせるの。ボトル前にセルロース膜 のフィルターでフィルタリングして、瓶詰めよ。赤は、ノンフィルターでつめています。」

バリック

レティッツァ
「次は赤のことを説明しますね。
赤はプレスは使っていません。除こうをして、硬い部分と房をわ けます。
ぶどう果汁と皮は一緒にして、セメントタンクに いれます。
発酵によって温度があがると皮が上部に浮いてくるので混ぜるようにします。
混ぜ方は、下の液をと って上から入れるのと、大きなフォーク状のもので混ぜるというやり方の2つを併用しています。
途中に色と皮 をチェックして、皮の色をみて、このプロセスが終わっているかどうかを判断しています。
1週間~10日間で終了したら、プレスに入れて果汁を絞りセメントタンクに入れて2週間発酵させます。
発酵後はバリックに1年半いれます。
バリックに入れるとそのタンニンがでて、ワインのタンニンと融合して変化し、ワインの状態が安定し ます。良いぶどうだと、当然バリックの熟成も長くなります。」

バリック

アッピ「それにしても、樽すごい増えましたね。」

レティッツァ「5年前あなたたちが来たときにはキャンティは樽を通していなかったなんですが、2年物の樽を今 は通すようにしています。
サンジョベーゼはバリックが必要なのよ。明日フランスからバリックが来るんだけど 、95年にバリックを始めて買ってから、いろいろなタイプを使ったけど、255Lがいいみたい。
フランスの樫の木を使っているんだけど、トーストはミディアムトースト。
トーストしすぎているのは、だめなの。樹齢も古 いと樹が乾いてしまっているの。
バリックがいいのか悪いのかはとっても重要で、自分たちのワインをどう造り たいのかに、すごく関係があるわ。」

 

インタビューを終えて
チェザーニのアグリトゥーリズモに今回始めて泊まりましたが、とてもきれいで快適。
連泊で宿泊するヨーロッ パからのお客さんもたくさんいました。
朝食付きで非常にお得なので、是非、サンジミニャーノにレンタカーな どで回られるときは、チェザーニのアグリトゥーリズモでのんびりするのも楽しいと思いました。
しかも、とっても安く泊まることができます。
次の日、別れ際に、たくさんのお土産を持たせてくれた二人。ずっと立ち話をしてとても名残おしく感じました 。
それにしても、考えられないほどの情熱と手間をかけて造られる、ルエンツォのおいしさは無論。
ヴェルナッ チャディサンジミニャーノも小さなバスケットで皮をつぶさないように運んで、そのあとのソフトプレス。
光り 輝くようなそのワインには、そういう努力が隠れていることを改めて感じました。お手ごろだけど非常に質の高いワインです。
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