年産6000本！ファヴィニャーナ島産の赤

2018年10月、フィッリアート社のサンドロ ランダッツォ氏にお話を聞きました。「ファヴィニャーナ島産の赤ワインです。ワイン名の「レ シャビケ」とは大漁を祈願した漁船を使った伝統的行事を指します。土着品種のネロダーヴォラとペッリコーネのブレンドです。年産6000本のみでとても生産量の少ない限定販売のワインです。ネロダーヴォラとペッリコーネの良さが一つになったワインです。香りは柔らかいエレガントな印象があります。飲むと余韻がずっと長く続くワインです、余韻で感じるブドウのデリケートな甘やかさがあります。白ワイン同様、このワインを飲んだ後は、口の中が少し渇いたような感覚を持たれると思います。まるで海から出てきた時のような感覚です。塩味を感じるこのような味わいの特徴はファヴィニャーナ島ならではのものです。ファヴィニャーナ島は元々漁業で栄えた島でこの海域は多くの地中海マグロが獲れます。日本にもたくさん運ばれているマグロです。ですので日本のお客様はファヴィニャーナ島の漁業に携わる者にとって大切なお客様で御礼を申し上げなければなりませんね。マグロと非常に相性の良いワインです」と話してくれました。

海から僅か30メートルにある畑

トラパニとマルサラの間のシチリア西海岸から約7kmに位置するファヴィニャーナ島の畑は標高0メートル、海から僅か30メートルの場所にあるので、海風の影響を受けています。太古の昔は海で海底が隆起した島の土壌では魚の骨、貝殻の化石が畑を掘り返すとよく見つかります。土壌だけでなく、風からも海洋性の影響を大きく受けています。秋口になると海の海藻類が枯れ、畑に風にのって降りてきます。それが自然な肥料となりますので、有機でのブドウ栽培が可能となっています。

「収穫したブドウは船でトラパニまで運ぶ」

ファヴィニャーナ島には醸造所がありませんので、収穫したブドウは船を使ってトラパニまで運びます。本当はファヴィニャーナ島にも醸造所を持ちたかったのですが、自然、景観を守る国の法律で醸造所施設を造る許可が下りませんでした。10～11隻の船を所有していますので、20人の職人が収穫したブドウは船で20分ほどかけてトラパニまで運びます。

シチリアの土着品種ペリコーネとネロ ダーヴォラをブレンド

「レ シャビケ ロッソ」はシチリアの土着品種ペリコーネとネロ ダーヴォラをブレンドしたボリューム感のある赤ワインです。畑はファヴィニャーナ島のテヌータ カラモーニにあります。石灰砂岩ベースとした土壌で、南向き、アルベレッロ方式で仕立てられています。9月中旬に木箱に手摘みで収穫します。醗酵はステンレスタンクで24-26℃に温度管理をして、12日間かけて行われます。オーク材のバリックとトノーで4ヵ月熟成させたあとに、ステンレスタンク熟成。瓶内熟成を4ヵ月間行ったあとリリースされます。

スグリとブラックベリーの上品な香りが、フレッシュなバルサミコ香をまとったクローブ、マイルドなスパイス、甘いタバコの香りと交互に現れます。グラスを廻すと豊かなミネラルが感じられます。しっかりとしたボディながらも気品も兼ね備えた調和のとれたワインです。

シチリアの西部、トラパニのパチェコに1985年から醸造所を構え、「シチリア固有のブドウ品種のポテンシャルを十分に引き出す」「シチリアの土地にあった国際品種の活用」の哲学のもと、ワイン造りに取り組んでいます。

最新技術の導入にも積極的で、日常のワインから偉大なワインまで、常に安定した品質で、イタリア国内はもとより世界各国で高い評価を受けています。『ルカマローニ2012』では11銘柄が90点以上を獲得、年間最優秀生産者に選ばれました。白ワインはエレガント、赤ワインはボディが強すぎず非常にバランスのとれた仕上がりです。