永遠の旨安大賞「カサル ディ セッラ」を生み出したヴェルディッキオのエキスパート!「ウマニ ロンキ」突撃インタビュー

2023/05/29
突撃インタビュー
 
2023年5月19日 ミケーレ ベルネッティ氏 Mr. Michele Bernetti

永遠の旨安大賞「カサル ディ セッラ」を生み出したヴェルディッキオのエキスパート!世界一に輝いた偉大な赤「ペラゴ」でマルケの名を轟かせた造り手「ウマニ ロンキ」突撃インタビュー

永遠の旨安大賞「カサル ディ セッラ」を筆頭に数々の高品質&コストパフォーマンスに優れたワインを生み出してきた「ウマニ ロンキ」。ヴェルディッキオのエキスパートとしてだけでなく、名醸造家ジャコモ タキス氏とともに造り上げたスーパーマルケ「ペラゴ」が世界的コンクールで最優秀赤ワイン賞を獲得するなど、白ワインのイメージが先行していたマルケ州において、赤ワインの潜在力を世界に知らしめた造り手でもあります。メトドクラシコ、古樹ヴェルディッキオ、北限モンテプルチアーノなど、彼らがマルケとアブルッツォで造るワインは多岐にわたります。今回は新登場ワインを含め、数々のワインを試飲しながら、改めてワイナリーや各ワインについて3代目ミケーレ ベルネッティ氏にお話を聞きました。

2つの州にまたがり数々の高品質&超コスパワインを生産!
マルケ州のリーダー的存在「ウマニ ロンキ」

マルケ州で3世代続く家族経営ワイナリー

――ミケーレさん、お久しぶりです。何年振りでしょうか。

ミケーレ 何年も前ですね。私はもう髪の色が変わってしまいましたよ(笑)。さて、今日は何の話をしましょうか。

――ウマニ ロンキのことは多くの方が知っていると思いますが、改めてワイナリーについて説明をお願いします。試飲しながらお話を聞かせていただきますね(笑)。


ミケーレ わかりました。みなさん、改めましてお久しぶりです。ウマニ ロンキは、ジーノ ウマニ ロンキが1950年代にカステッリ イエージで創設した家族経営ワイナリーです。私は3代目のミケーレ ベルネッティです。父の代から畑の拡大を進め、現在はマルケとアブルッツォで計200ヘクタール以上の畑でブドウを栽培しワインを生産しています。

3つのエリアで多種多様なワインを生産

ミケーレ 両州でビオディナミ栽培を行い、環境と経済におけるサスティナビリティの認証を取得しています。マルケとアブルッツォは州境として区切られていますが、畑が位置するエリアはアドリア海に集中しているので、共通する部分がたくさんあります。畑のエリアは大きく分けて3つです。

ヴェルディッキオの潜在力を示す「カステッリ ディ イエージ」

ミケーレ まずは、主にヴェルディッキオを造るカステッリ ディ イエージ地区。畑の規模は100ヘクタールあります。メトドクラシコ、クラシックなヴェルディッキオ、古樹ヴェルディッキオ、高標高&厳選ヴェルディッキオなど様々なワインを生産しています。

モンテプルチアーノ栽培エリアの北限「コーネロ」

ミケーレ そして、海に近いエリアのコーネロ地区です。モンテプルチアーノを栽培しています。モンテプルチアーノは、アドリア海側のマルケ、アブルッツォ、モリーゼ、プーリアまで栽培される品種です。マルケ州のコーネロ地区はその北限にあたります。それより北に行くとサンジョヴェーゼのエリアになります。

山と海に囲まれたアブルッツォ北部「ロゼート デッリ アブルッツィ」

ミケーレ 最後に、アブルッツォ北部に位置するロゼート デッリ アブルッツィです。モンテプルチアーノ、ペコリーノ、トレッビアーノを栽培しています。このエリアからの眺めは素晴らしいです。背後にはグランサッソという高い山、正面にはアドリア海が広がる美しい場所です。

ヴェルディッキオの畑

ウマニ ロンキの歴史を語る3種のヴェルディッキオ
アブルッツォの集大成「チェントヴィエ」シリーズ

ヴェルディッキオの世界に誘う最初の1本「カサル ディ セッラ」

ミケーレ 私たちにとってヴェルディッキオはワイナリーの歴史です。その中でもカサル ディ セッラは、長い歴史を持つ古典的なヴェルディッキオです。ヴェルディッキオの世界に誘う最初の1本と言えるでしょう。優れたコストパフォーマンスも特徴の一つです。

ファーストヴィンテージは1983年。今から40年前ですね。最初は単一畑で造るという私の父の発想で造られましたが、今は2つの畑から選別したブドウを使用しています。

――お客様から長く愛されれる理由がわかる味わいですね。

ミケーレ ありがとうございます。飲み手の記憶に残るような味わいに仕上げています。あまり香りが強すぎることもなく、心地よい地中海的なワインだと思います。

――造り始めた40年前と比べて、味の変化はありますか?

ミケーレ 一定の味わいを保つようにしています。環境の変化に対応するために畑を改植するなどしています。

誕生から成長を見守ってきた古樹で造る「ヴェッキエ ヴィーニェ」

ミケーレ ヴェルディッキオの階段を一つ登ったのがヴェッキエ ヴィーニェです。受賞歴の多いワインの一つです。『ガンベロロッソ2012』では、2009年ヴィンテージが年間最優秀白ワインを受賞しています。実はもともとカサル ディ セッラの中に畑があったんです。カサル ディ セッラが改植するにあたり一部の高標高の区画を残して、クリュの概念で新しく造ったのがヴェッキエ ヴィーニェです。

古樹なので根が地中深くまで入っていきます。それにより地上の悪影響を受けにくいんです。難しい年でも安定してブドウが成熟し、バランスの良いフレッシュなワインに仕上がります。

ヴェッキエ ヴィーニェを更に厳選!長期熟成ヴェルディッキオ「ヒストリカル」

ミケーレ ヒストリカルをご紹介できるのは大変嬉しいです。私たちの思いが詰まっているワインです。ヴェッキエ ヴィーニェの中でも、より高標高にあるエリアから厳選して造っています。このワインを通して伝えたいことは、品種や畑が持つ長期熟成能力です。

50~60ヶ月ほど熟成させているので、通常よりもかなり遅くリリースする長期熟成ヴェルディッキオです。5年熟成されて変わった姿だけでなく、品種や畑の100%純真な姿も感じていただきたいです。2018年がファーストヴィンテージです。2023年6月初旬を予定しているイタリアでのリリースよりも先に開ける最初の最初の1本ですよ!(2023年5月に取材)

アブルッツォで造るトップキュヴェシリーズ「チェントヴィエ」

ミケーレ チェントヴィエは、アブルッツォで造るワインのトップに位置するシリーズです。ペコリーノ100%の白ワイン、モンテプルチアーノ100%のロゼと赤ワインの3種類があります。もともとチェントヴィエとは畑の近くにある村の名前ですが、畑からの眺めが大変素晴らしいのでシリーズ名にも採用しています。

エチケットにはレモンの樹が描かれています。これは、畑近くにあるレモンで、アマルフィ沿岸で見られるものくらい立派なんです。豪雪の時も大きな被害を受けない奇跡みたいな樹なのです。それくらい変わった気候のエリアとも言えますね。

 

世界ナンバーワンの実績を誇るスーパーマルケ
マルケ ロッソ IGT「ペラゴ」

名醸造家ジャコモ タキス氏の天才的直感により誕生


ミケーレ ペラゴは、私たちにとってとても重要なワインです。スーパーマルケと言うこともあります。ファーストヴィンテージは1994年で、当時の醸造コンサルタントはジャコモ タキスです。彼は1991年から2001年までの10年間、務めました。ペラゴにはいくつかのエピソードがあります。
(写真は左から、2代目マッシモ氏、ジャコモ タキス氏、3代目ミケーレ氏)

カベルネソーヴィニヨンとメルローのボルドー品種で新しいワインを造ろうと思っていた時のことです。80年代後半に植樹したブドウが、ようやく94年になって仕上がったので醸造することになり、みんなでブレンド比率を考えていました。

そこで、タキスが「アイディアがある」と。20種以上ある(ワインが入った)グラスの中から、カベルネソーヴィニヨンとメルロー、そしてモンテプルチアーノを選び、グラス内で混ぜ、「このブレンドが素晴らしい」と提案してきたのです。数あるワインの中から、試飲をしただけで「これを混ぜれば美味しくなる」と判断できるなんて、本当に天才的直感の持ち主だと思いました。
(ペラゴのブレンド比率:カベルネ ソーヴィニヨン45%、モンテプルチアーノ45%、メルロー10%)

国際的コンクールで初ヴィンテージが三冠達成

ミケーレ もう1つのエピソードは、1997年にロンドンで行われたインターナショナル ワイン チャレンジ(IWC)に参加した時のことです。IWCは当時世界で最も有名な誉れ高いコンクールでした。会場に招待された私と父は、夕食を楽しみながら授賞式を観覧していたんです。

そしたら、イタリアワイン部門の発表になり、「イタリア部門最優秀賞は、ウマニロンキ ペラゴ ロッソ マルケIGT」とアナウンスされたんです。マルケといえば誰もが白ワインだと思うじゃないですか。それにファーストヴィンテージのペラゴ1994年ですよ。驚きましたね。

そして、最後にスパークリング、白、赤といった感じで、ワインカテゴリーごとの受賞ワインの発表が行われました。私たちはもう関係ないと思い、みんなで喋ったり歌ったりして、誰も見向きもしなかったんです。すると、近くにいたポルトガルの生産者が「ヘイ! ペラゴが赤ワイン部門TOP3にノミネートされてるよ!」と教えてくれたんです。しかも、最終的には優勝ですよ! もうとんでもないことが起きたと思いました。

まだ話は続きます。父がその2個目のトロフィーをもらって席に戻ろうとしたら、「お待ちください。もう1つの賞があります」と。「今年のファーストヴィンテージワインのNo.1はペラゴです」と発表され、なんと3つ目の賞となったのです。信じられませんでした。それがイタリアワインで初めていただいた賞でした。

意外な場所で発見されたペラゴのファーストヴィンテージ1994年

――授賞式が1997年ということは、ミケーレさんは30歳くらいですか?

ミケーレ 私は31歳くらいですね。父は60代です。実は、ダイアナ妃の葬儀が行われた3日後の出来事だったんです。何キロにもわたる献花や現地の雰囲気は鮮明に覚えています。受賞後、たくさんの友人から「ペラゴを5カートン欲しい!」といった連絡が来ました。しかし、私たちはすでに売ってしまっていて、その期待には応えられませんでした。その影響で友人が減りましたね(笑)。

その10~15年後に、日本のとあるお得意様を訪ねる機会がありました。「ちょっとこっちに来て」と呼ばれた先には、なんとペラゴの1994年が30カートンくらいあったんです! どこにもなかったペラゴがここにあったのかと驚きました(笑)。

――買い戻さないとダメですね(笑)。人生における最高の思い出の1つになったんじゃないですか?

ミケーレ その通りですね。このように、みなさんが求めるワインを造れたことは素晴らしい経験です。タキスの直感がすごかったと今でも思っていますよ。海のニュアンス、バルサミコのニュアンス、香辛料のニュアンスを上手に引き出してくれました。

ヴェルディッキオの潜在力を感じさせるメトドクラシコ
ウマニ ロンキ
LH2 メトド クラッシコ エクストラ ブリュット NV
LH2 メトド クラッシコ エクストラ ブリュット NV


ミケーレ氏:
「カステッリ ディ イエージのヴェルディッキオ70%とシャルドネ30%で造るメトドクラシコ「LH2」です。私たちにとって挑戦的なワインです。ファーストヴィンテージは2008年。塩味やフレッシュ感をしっかり引き出すために、早い時期に収穫を行なっています。ヴェルディッキオは骨格や塩味、旨味を与え、シャルドネは少しふくよかなニュアンスを与えます。余韻を長く楽しめるのはシャルドネの影響です。エクストラブリュットであることも特徴の一つです。重すぎたり酸が強すぎたりしないように気をつけています。ヴェルディッキオの潜在力をスパークリングワインにも示すことができていると思います」
試飲コメント:黄金色よりの麦わら色。グレープフルーツのような柑橘系のフレッシュな果実、小粒の果実、奥のほうにパン生地を感じる香り。口当たりはクリーミーで飲み口の良さがあります。フレッシュな鋭い果実味がありながら、丸みを帯びた辛口な味わい。じわじわと広がる余韻が持続します。

コストパフォーマンス抜群!長年愛される永遠の旨安大賞
ウマニ ロンキ
カサル ディ セッラ ヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イエージ クラシコ スペリオーレ 2021
カサル ディ セッラ ヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イエージ クラシコ スペリオーレ 2021


ミケーレ氏:
「カサル ディ セッラは、歴史ある古典的なタイプのコストパフォーマンスに優れた1本です。香りは黄色系の花、エニシダ、白系果実のニュアンス。ヴェルディッキオはアロマティック品種ではありませんが、少し待つと香りが開いてきます。フレッシュな酸とミネラル感を出すようにしています。このフレッシュ感を残すことで、飲み心地の良さが生まれ、食事と合わせたいと思わせるのです。ぶどう本来の姿を表現するためにステンレスタンクだけで醸造しています」
試飲コメント:黄金よりに輝く麦わら色。グラスに注いですぐに広がるアロマ。オレンジ、レモン、グレープフルーツなどの黄色や白い果実、ミネラル感、ハーブのようなニュアンスの香りがあります。口当たりがソフトで、スルスルと入っていく飲み口。香りに感じた果実の風味が口の中で広がり、ミネラル感に溢れた磯のようなニュアンスも感じます。程よく持続する心地よい余韻が次の一口へと誘います。

『ガンベロロッソ』年間最優秀白ワインを獲得した実績を持つ古樹ヴェルディッキオ
ウマニ ロンキ
ヴェッキエ ヴィーニェ ヴェルディッキオ クラシコ スペリオーレ 2020
ヴェッキエ ヴィーニェ ヴェルディッキオ クラシコ スペリオーレ 2020


ミケーレ氏:
「ヴェッキエ ヴィーニェは受賞歴の多いワインの一つです。果実味は控えめだと思います。デリケートで綺麗な香りに仕上がっています。2020年ヴィンテージは、力強さもありますし、辛口のシュッとしたニュアンスも出ています。それでいてバランスに優れています。非常にフレッシュです。これからも寝かせることができる長期熟成能力を持ったワインです。カサル ディ セッラと異なり、ステンレスタンクで発酵させた後に、セメントタンクで1年間澱とともに寝かせています」
試飲コメント:麦わら色。初めは繊細ですが、温度が高くなるにつれ力強い香りが増していきます。洋ナシなどの白い果実、少しのオレンジ色の果実の香り。口当たりはソフト。主に柑橘や白い果実の中に、多種多様な果実の複雑なニュアンスが現れます。繊細でエレガントな味わいですが、口の中でゆっくりとじわーっと広がる風味の余韻が非常に長く持続します。

栽培に最も適したアブルッツォ北部で造る華やかなペコリーノ
ウマニ ロンキ
チェントヴィエ コッリ アプルティーニ ペコリーノ 2020
チェントヴィエ コッリ アプルティーニ ペコリーノ 2020


ミケーレ氏:
「ペコリーノの栽培に最も向くアブルッツォ北部で造るペコリーノです。チェントヴィエというクリュの概念で造られています。ヴェルディッキオの醸造をペコリーノにも応用させるという考えで、ステンレスタンクでアルコール発酵させ、セメントタンクで数ヶ月間シュールリーさせています。収穫もヴェルディッキオ同様に、完熟を待たず、なるべく早めに収穫を行います。フレッシュ感や酸味をしっかり残すことが大事です。ヴェルディッキオよりも華やかな香りが広がり、塩味と程よい骨格があります」
試飲コメント:淡い麦わら色。オレンジ色や黄色の果実、凝縮感と甘やかさのあるアロマ。緑色の果実やハーブのようなニュアンスも感じます。黄色や白い果実の繊細で柔らかな味わい。ミネラル感溢れる塩味と心地よいフレッシュな酸が口中を満たし、味わいの各要素が主張しながらも綺麗に調和しています。

モンテプルチアーノ100%ながらも淡い色合いが表現された単一畑ロゼ
ウマニ ロンキ
チェントヴィエ ロザート 2021
チェントヴィエ ロザート 2021


ミケーレ氏:
「モンテプルチアーノ100%で造るロゼワインです。アブルッツォのロゼというとチェラスオーロ ダブルッツォがありますが、それらと差別化を図るために果皮との接触は2~3時間程度に抑えて、淡い色を抽出しています。生産量は少量ですが市場では大変評価を得ていて急成長しているワインの一つです。ピンクグレープフルーツを感じますね。チェリーのようなニュアンスもあります」
試飲コメント:玉ねぎの皮色。チェリー、イチゴなどの赤い果実、梨やグレープフルーツなどの白い果実の香り。口に含むと柔らかいアタックが心地よく、飲み心地の良さがあります。香り同様の赤と白の果実の風味が最初から最後まで一貫して持続します。

モンテプルチアーノ栽培の北限エリアで造るコーネロ ロッソ
ウマニ ロンキ
サン ロレンツォ ロッソ コーネロ 2020
サン ロレンツォ ロッソ コーネロ 2020


ミケーレ氏:
「カサル ディ セッラの兄弟ワインですね。ファーストヴィンテージは1982年。ワイナリー近くのサンロレンツォ畑で造っています。コーネロ地区のモンテプルチアーノ100%を使用していますが、まさにこのエリアはモンテプルチアーノが造れる北限になります。太陽光が強く海風もしっかり吹くので、しっかりブドウが成熟します。1年半熟成させていますが、半分は大樽、半分はバリック(旧樽)を掛け合わせています。

ストラクチャーは控えめですがエレガントさや果実味に重きを置いています。フレッシュでクリーンな印象です。モンテプルチアーノ特有のマラスカチェリーやプラムのニュアンスがしっかり出てきていると思います。口に含んでも喜ばしい余韻があります。お食事と合わせやすい汎用性の高いワインだと思います。パスタ料理でも白身のお肉でもいいですね」

試飲コメント:輝く紫色。スミレやプルーンのような紫の花と果実のを感じるフレッシュでフルーティ、スパイシーな香り。口当たりは非常にソフトで、エレガントながら凝縮感のある果実の風味。チェリーやプラムのようなジューシーな果実の余韻があります。

香辛料のニュアンスや凝縮感に溢れる歴史的なフラッグシップ赤ワイン
ウマニ ロンキ
クマロ コーネロ リゼルヴァ 2018
クマロ コーネロ リゼルヴァ 2018


ミケーレ氏:
「クマロは私の父が造ったワインで、ウマニ ロンキを代表する赤ワインの一つです。ファーストヴィンテージは1985年。当時は初めてバリックを導入した画期的なワインでした。サンロレンツォはロッソ コーネロですが、こちらはコーネロ リゼルヴァです。熟成は2年必要ですし、収量も低くなるため凝縮感が増しています。色調も濃いし香辛料のニュアンスがありますね。先日1988年ヴィンテージを飲んだのですが、とっても美味しかったです。非常に洗練されていて、繊細でエレガンスに満ち溢れていました」
試飲コメント:綺麗に輝く紫色よりのルビー色。バニラなどの樽由来のスパイス感、胡椒、ブルーベリージャムの力強く複雑な香り。香り同様の要素を持つ味わい。ほどよい骨格がありますが、柔らかく繊細さもあるエレガントなフルーティさ。

凝縮感とエレガンスを兼ね備えた超少量生産のコーネロ リゼルヴァ
ウマニ ロンキ
カンポ サン ジョルジョ コーネロ リゼルヴァ 2012
カンポ サン ジョルジョ コーネロ リゼルヴァ 2012


ミケーレ氏:
「カンポ サン ジョルジョはヒストリカルの兄弟ワインです。試飲していただいている2012年は、暑い年でしたがエレガントなスタイルに仕上がっていると思います。ブドウ品種が持つ特徴がしっかり出ています。生産量は非常に少なく3200本です。1年間大樽で熟成させた後に、6ヶ月間バリックでさらに熟成をさせています。ワインを少しずつ酸素に馴染ませながら、まろやかさを引き出していくスタイルを好んでいます」
試飲コメント:深いルビー色。ドライフルーツ、ドライフラワー、枯葉、胡椒、ナッツ、土。非常に複雑で力強い香り。今回試飲したワインの中で最もまろやかな口当たりで、凝縮した果実感が際立っています。ほどよいタンニンが、その果実感を引き立たせ長い余韻を演出します。心地よい風味が鼻孔をくすぐります。

パワフルな凝縮感が際立つアブルッツォの最上級モンテプルチアーノ
ウマニ ロンキ
チェントヴィエ モンテプルチアーノ ダブルッツォ 2017
チェントヴィエ モンテプルチアーノ ダブルッツォ 2017


ミケーレ氏:
「アブルッツォに位置するロゼート デッリ アブルッツィの自社畑から厳選したモンテプルチアーノ100%を使用した赤ワインです。ファーストヴィンテージは2015年。熟成期間は15ヶ月ほど。新樽比率は20%です。暗い色合いで暑いエリアのモンテプルチアーノを想起させますね。コーネロは石灰質が豊富ですが、アブルッツォの土は貧しくて砂質が多いんです。黒い果実の香りがします。スミレ、ブルーベリーのニュアンス。タンニンもしっかり感じ、暑いエリアの凝縮感が出ています。味付けの濃い手の込んだお料理と合わせるのがいいですね。チェントヴィエは、よりパワーを感じるモンテプルチアーノです」
試飲コメント:深いルビー色。ブラックベリーなどのパワフルな凝縮果実に、スパイス、バニラ、潰した花が加わる厚みのある香り。香り同様のリッチでふくよかな味わい。リコリスのような黒いニュアンスも感じます。とても長く持続する余韻があります。

世界一の称号を手にした偉大なスーパーマルケ
ウマニ ロンキ
ペラゴ マルケ ロッソ 2018
ペラゴ マルケ ロッソ 2018


メルローは9月初旬、カベルネ ソーヴィニヨンは9月下旬、モンテプルチアーノは10月頃に手摘みで収穫。除梗した後、27~29度に温度管理されたステンレスタンクで14~15日間アルコール発酵、マロラクティック発酵を行います。オークのバリックで14ヶ月熟成させた後、温度管理下でさらに約 12ヶ月間瓶内熟成させます。
試飲コメント:深みがあり美しく輝くガーネット色。赤と黒の果実、ドライフラワーのニュアンスを持つ非常に複雑で力強い香り。チョコレートや胡椒のような黒い印象もあります。骨格、力強さ、黒いニュアンス、スパイシーさが突出していながら、柔らかさと心地よさも兼ね備えた味わい。

ウマニ ロンキの最上級ヴェルディッキオ!5年熟成「ヒストリカル」ファーストヴィンテージ
ウマニ ロンキ(マルケ)
ヴェッキエ ヴィーニェ ヒストリカル ヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イエージ クラシコ スペリオーレ 2018
ヴェッキエ ヴィーニェ ヒストリカル ヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イエージ クラシコ スペリオーレ 2018


このワインを通して伝えたいことは、品種や畑が持つ長期熟成能力です。ボトリングをするまでに約4年半とヴェルディッキオにしてはかなり時間をかけています。これは私達にとってもチャレンジになります。醸造については特殊なことは何もなく、普通です。発酵後、8か月間澱と共にセメントタンクで寝かせます。その後、小さいステンレスタンクに移して約36ヶ月間熟成させています。それからボトリングして瓶熟成を少なくとも6ヶ月以上行います。この時間を過ごしたうえで、ヴェルディッキオの品種の純粋さを保ちつつ、熟成がどのように進むのか。それを感じていただければと思います。
試飲コメント:淡いグリーンを帯びた美しく輝く黄色の色調です。柑橘類のフレッシュさと暖かな南国フルーツの香りにハーブや花のニュアンスとミネラルを感じる複雑で広がりのある香り。飲むと風味豊かでしっかりとしたコクのある味わいが口の中を満たします。まだまだフレッシュで若々しさがあり、これからの熟成ポテンシャルの高さを感じさせます。
インタビューを終えて
ラインナップが豊富であることに加え、高品質でコストパフォーマンスに優れるウマニ ロンキのワインはたくさん魅力が詰まっています。もちろん試飲したワインは全て美味しかったです。特に印象的だったのは、3種のヴェルディッキオ(カサル ディ セッラ、ヴェッキエ ヴィーニェ、ヒストリカル)とコーネロ リゼルヴァ カンポ サン ジョルジョでした。

3種のヴェルディッキオはどれもクリーンで美しさがあり、グレードが上がるごとに複雑さと華やかさが増していき大変興味深かったです。そして、コーネロ リゼルヴァはアブルッツォ州のモンテプルチアーノと個性が見事に異なっていました。凝縮感や複雑性がありながら、優しく包み込むようなニュアンスや美しさがあり素晴らしかったです。

ペラゴは別格でした。ミケーレさんの解説とエピソードトーク付きでの試飲は贅沢なものでした。記事にあるようにペラゴには数々の逸話があります。その歴史的なエピソードを当事者であるご本人からお聞きできたことは、大変貴重な機会だったと記事を書きながら思い返していました。

数々のヒットワインを生み出すマルケ州のリーディングワイナリー「ウマニ ロンキ」のワインをぜひお楽しみください。

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