東欧モルドバ「ラダチーニ」輸出部長ヴェアセスラヴ ニブニーア氏の突撃インタビュー

2019/09/06
  突撃インタビュー
 
2019年8月29日 ラダチーニ輸出部長ヴェアセスラヴ ニブニーア氏

5000年前からあるワインの歴史と、ボルドーと同じ緯度の恵まれたテロワール。驚愕のコストパフォーマンスを発揮する、東欧モルドバ「ラダチーニ」輸出部長ヴェアセスラヴ ニブニーア氏の突撃インタビュー

輸出部長ヴェアセスラヴ ニブニーア氏
東欧の国モルドバは、実は、5000年以上前からワイン造りの歴史があります。また、フランスの銘醸地ボルドーと同じ緯度で、非常に恵まれたテロワールを持ち、知られざるワインの銘醸地です。
そのモルドバで、ラダチーニは1000ヘクタールに及ぶ自社畑のブドウからのワイン造りにこだわり、イタリア人醸造家ウンベルト メリーニの指導の下、ヨーロッパ品質のワイン造りを目指します。
昨今、ヨーロッパのワイン伝統国や、人気のあるアメリカなどのニューワールドでも、ワインの価格が高騰する中、東欧の国々のワインは、まだ手にしやすい水準を保っています。ヨーロッパ品質で、ニューワールド並みの価格、東欧モルドバ ラダチーニ。輸出部長ヴェアセスラヴ ニブニーア氏にお話を伺いました。

モルドバは5000年の歴史が裏打ちする、ボルドーと同じ緯度の恵まれたテロワールを持つ

モルドバ 緯度モルドバは、緯度はボルドーと同じで、収穫時期もフランスやイタリアとほぼ同じぐらいです。昼夜の温度差が大きく、ブドウの栽培に向いています。
黒海沿岸のモルドバのワイン造りは5000年前に遡れます。古代この近辺に住んでいた、ダキア人はワイン造りを盛んに行っており、後にローマ人とギリシャ人と葡萄栽培や醸造技術の情報交換をしていたようです。
1991年ソ連は崩壊しモルドバ独立を機に、EUなどの国際基準を考慮した新しい「ブドウ ワイン法」が導入されました。
ソ連向けのバルクワインの生産から、国際的に通用する品質重視のワイン造りにチャレンジする生産者の機運が盛り上がっています。

Qモルドバってどんな国ですか?
モルドバの風景モルドバは1991年に旧ソ連から独立した若い国家です。人口は約335万人、面積は33,843平方キロメートルで、九州と同じぐらいの大きさです。東はルーマニアと西はウクライナに挟まれています。元々は黒海に接していましたが、第二次世界大戦ドイツとロシアの取り決めで、現在の内陸の国となりました。
おもな産業は農業で、ブドウ栽培とワイン醸造は、その基幹産業です。25万人(労働力人口の15%)がワイン生産や関連事業に従事しています。
公用語はモルドバ語(実質的にはルーマニア語)で、他にはロシア語も使用されています。

モルドバのワイン事情
土壌は、石灰岩層を含んだ「チェルノーゼム」と呼ばれる黒土です。夏は35から40度で、冬はマイナス15度まで下がります。ただし、夏も冬も短いです。緯度はボルドーと同じなので、収穫時期もフランスやイタリアとほぼ同じぐらいです。昼夜の温度差が大きく、ブドウの栽培に向いています。
栽培面積は142,000平方メートルでヨーロッパでは5位です。人口に対するブドウ畑の面積の広さは世界一です。
生産量は160万ヘクトリットルで、ヨーロッパでは10位入りを果たし、世界63か国に輸出しています。

三つの原産地呼称「コドル」、「シュテファン ヴォダ」、「ヴェルル ルイ トライアン」
モルドバワイン 原産地 生産地モルドバの原産地呼称は三つあり、ラダチーニはこの三つの原産地全てに、畑と醸造設備を持っています。
「コドル」谷間や小さな川に細かく分断された地域。森林が25%を占めます。国有の世界で一番大きなワインセラーがあります。その近くに、現在醸造所を建設中です。
「シュテファン ヴォダ」緯度が低く、黒海の影響を受ける地域です。
「ヴェルル ルイ トライアン」黒海と高原の森林の影響を受ける、温暖な地域です。
畑の近くにある醸造所でブドウが劣化しないように、素早く破砕、一次発酵まで行います。各地でできた瓶詰前のワインは、モルドバの中央にあるチミスリアの醸造所に集められて、一部はブレンドされて瓶詰します。

1000ヘクタールに及ぶ広大なブドウ畑は全て自社畑。しかも、全て手摘み

ラダチーニはドラガン グループの一社です。今では、小売業や精肉も手掛けるドラガングループですが、現オーナーのドラガン氏が一代で築いた会社です。大学で醸造を学んだドラガン氏はワイナリーなどで働きだします。1994年に自分の会社を立ち上げますが、2001年からロシアのサンクトペテルブルクのワインの会社で、ジェネラル マネージャーも任されます。そこでは、スペインやチリからの輸入果汁などを使い、大量にワインを造ったりしていました。
しかし、それはドラガン氏の本当にやりたいことではありませんでした。その後、モルドバに戻ったドラガン氏はチミスリアのワイナリーを買収し、自らワインを造り始めました。それを皮切りに、次々と畑を買い増し、いまや約1,000ヘクタールにまで広がりました。
ラダチーニのワイン造りにおいてのこだわりは、自社畑のブドウを使うことです。

生産量の95%は世界26カ国に輸出
ラダチーニの生産量の95%は輸出しています。グループ会社で小売店もありますが、モルドバの人口は、そもそも少ないので国内市場は、非常に小さいです。現在は26カ国に輸出しています。イギリス、ポーランド、チェコ、などのヨーロッパ諸国やアメリカにも輸出しています。

モルドバ ぶどう 収穫

国際品種の作付け90%、徐々に増やしている土着品種
国際品種の樹齢は15年ぐらいです。カベルネやシャルドネなど、国際品種の作付けが多く90%を占めます。最近になって、土着品種の作付けも増やしています。ソ連時代に植えられた古いブドウ木もあります。
(補足:ソ連時代は土着品種の栽培が許されておらず、国際品種以外は栽培できなかったという政治的な背景もあるようです。)

 

イタリア人ワインメーカー、ウンベルト メリーニ氏を生涯顧問として依頼し、低価格ながら高品質のワインを生産

ラダチーニ醸造コンサルタント アントニオ メニーニ氏モルドバにもワイン醸造家はいますが、ソ連の醸造スタイル、つまり、赤ワインや酒精強化ワインなどに強い醸造家が多いのです。我々の目指しているのは、ヨーロッパスタイルのドライ ワインです。また、きれいな白ワインを造るのは、赤ワインをつくるのより難しいです。ウンベルト氏は、イタリアでワイン造りの豊かな経験がありましので、依頼することにしました。
ウンベルト氏には単なるコンサルタントではなく、ウンベルト氏の経験を若いスタッフに伝えてもらい、指導者にもなってもらっています。
オーナーのドラガン氏は若いチームで、改革していきたいという希望があります。

モルドバ 収穫 造り手 ラダチーニ

大人気!カベルネ ソーヴィニョンで造られた、珍しい白ワイン
ラダチーニ ブラン ド カベルネ2018
このワインを造り始めたきっかけは、10年ほど前にブドウの出来があまり良くなかった年があり、ロゼを作ろうという話がありました。しかし、イタリア人醸造コンサルタントのウンベルト メニーノ氏から「ロゼだと面白くないので、白にしてみれば」とアドバイスがあり、この珍し白ワインが誕生したそうです。最初イギリスのインポーターからは、「カベルネ ソーヴィニョンの白なんて」と、拒否されてしまったそうです。しかし、アメリカで受け入れられ、このワインが広がると、イギリスから声がかかり、輸出することになりました。最初は色が付いてしまったりしましたが、品質を改良し今のワインにたどり着いたそうです。

試飲コメント:レモン、白い花、新茶、フレッシュなメロンの魅力的なアロマ。しっかりとしたボリュームがあり酸がきれいに乗っています。余韻にはパイナップルなど南のフルーツのフレイバーがあります。凝縮感があり、飲み応えがあります。カベルネの白と聞いて、どんな味わいか想像がつきませんでしたが、飲んでみるとこの品質でこの価格は安いと素直に思えるコストパフォーマンスを持った、フルーティーな白ワインです。

ラダチーニ ブラン ド カベルネ2018
「白い乙女」という意味の土着品種の白ワイン
ラダチーニ フィオーリ フェテアスカ アルバ2017
フェテアスカ アルバは、「白い乙女」という意味の土着品種の白ワイン品種です。2000年前からモルドバで栽培されていた品種で、近年は栽培面積を増やしています。フルーティーで飲みやすく熟成の必要はないフレンドリーな白ワインです。ラベルはモルドバの伝統的な絨毯の柄がモチーフになっています。

試飲コメント:クリーンで清涼感のあるハーブやライムのアロマ。金柑っぽい柑橘のヒントも感じます。ライトボディで親しみやすく、生き生きとした果実味が楽しめます。余韻には塩っぽさがあります。「白い乙女」という名前のイメージ通りの瑞々しい白ワインで、アペリティフにぴったりです。

ラダチーニ フィオーリ フェテアスカ アルバ2017
樽熟成のふくよかな香りのシャルドネ
ラダチーニ ヴィンテージ シャルドネ2017
一部を樽熟成させたシャルドネです。先ほどのシャルドネより、複雑で香ばしいニュアンスのアロマが入ってきます。このシャルドネは北部のコドルです。熟成をイメージした年輪のモチーフのラベルです。

試飲コメント:蜜を含んだ白い花のさわやかなアロマ。樽の香りは穏やかで、軽く炒ったナッツのニュアンスが奥にあります。瑞々しく、ボリュームのある果実味。気兼ねなく飲める、良質のシャルドネでミディアムボディ。

ラダチーニ ヴィンテージ シャルドネ2017
プロヴァンス スタイルのメルロー ロゼ
ラダチーニ メルロー ロゼ2018
醸造はプロヴァンスと同じダイレクト プレス(直接圧搾法)です。
モルドバではカベルネより、メルローが熟すので、メルローでロゼを造りました。
フランスのコンクール(Mondial du Rose2019)で金賞を取りました。このことは私どもにとってとても嬉しいことでした。

試飲コメント:鮮やかな色はプロヴァンスのロゼそのもの。かわいらしいロゼカラー。フレッシュなプラム、小さなバラのフェミニンなアロマ。程よい果実味とフレッシュな酸が調和しています。内陸の国より、海に近いリゾートを連想させる、清涼感のあるロゼワインです。

ラダチーニ メルロー ロゼ2018
華やかなアロマと果実味たっぷりのカベルネ
ラダチーニ カベルネ ソーヴィニヨン2017
ブドウの産地は先ほどのカベルネの白とは違い、南部の温暖なエリア、ヴェルル ルイ トライアンです。白用のブドウとは酸の強さや、香り、味わいが違います。

試飲コメント:黒こしょうとカシスのトップノート。アタックは柔らかく、ミディアムボディ。タンニンはなめらかで親しみやすい。余韻にはカカオのニュアンス。このレンジではなかなか無い、豊かな広がりがある香りで、ぜひ大き目のグラスで楽しんでほしいです。

ラダチーニ カベルネ ソーヴィニヨン2017
ジューシーな赤い果実のメルロー
ラダチーニ メルロー2017
こちらの赤のメルローの産地は南部の温暖なエリア、ヴェルル ルイ トライアンです。
ジューシーな果実味で、品種の個性を引き出したワインです。

試飲コメント:いちごやラズベリーの小さな赤い果実の魅力的なアロマ。チャーミングで、ピュアな果実味と、穏やかで滑り込むようなタンニンの質。バランスのとれた重心を持つメルロー。

ラダチーニ メルロー2017
樽熟成の凝縮感がある大満足のカベルネ
ラダチーニ ヴィンテージ カベルネ ソーヴィニヨン2016
厳選した、ヴェルル ルイ トライアンで収穫されたかカベルネを、フレンチオークで12ヶ月樽熟成しました。しっかりとした、ボディのあるカベルネです。

試飲コメント:カシス、ブラックチェリーのパイ、チョコレートの甘い香り。ペパーミントのニュアンスも仄かにあり複雑で広がりのあるアロマです。タンニンは丸みがあり、しなやかです。ジューシーな果実味と穏やかな酸がバランスよく心地よい。やや温暖な生産地を連想させます。

ラダチーニ ヴィンテージ カベルネ ソーヴィニヨン2016
2000年前から栽培されている「黒い乙女」という意味の土着品種
ラダチーニ フィオーリ フェテアスカ ネアグラ2016
フェテアスカ ネグラとは「黒い乙女」という意味の黒ワイン品種です。2000年前からモルドバで栽培されている土着品種です。タンニンが少な目のフレッシュで飲みやすいワインが出来ます。

試飲コメント:赤いバラの花束、甘草などの甘い香りを帯びたスパイスの高級感があるアロマ。
軽やかな第一印象でタンニンは少な目。余韻にはブルーベリーのフレイバーがあります。非常に飲みやすい赤ワイン品種。

ラダチーニ フィオーリ フェテアスカ ネアグラ2016
土着品種フェテアスカ ネグラとシラーのどんぴしゃな競演
ラダチーニ フィオーリ2017
最近、作付け面積を増やしている土着品種に、国際品種のブレンドしたワイン。シラーを入れることによりスパイシーなニュアンスが加わります。

試飲コメント:ブラック カラント、ドライフルーツのプラム、クローブのアロマ。40%のシラーがこの赤ワインに複雑さを与えている。土っぽいアーシーなニュアンスもある。やわらかさと、男性的な力強さを兼ね備えたユニークな赤ワイン。

ラダチーニ フィオーリ2017
インタビューを終えて

ラダチーニのワインはヨーロッパの品質で、まだニューワールドの価格です。どのワインも飲んでみて、驚くのは、価格に対しての品質の高さでした。ヨーロッパのフィネスと、ニューワールドの親しみやすい果実味を両方持っています。ラダチーニのこだわりは、100%自社畑。ラダチーニのワインは、大量生産の工業製品ではなく農家ワインです。

10数年で、ここまでの品質に持って来られるのは、やはりこの土地の持つポテンシャルがすごいからです。5000年の歴史は伊達ではありません。樹齢を聞くと、15年程です。若いなと思いましたが、モルドバには5000年のワイン造りの歴史があります。何の技術もないころから、ワイン造りに最適だったテロワールが存在する恵まれた土地です。

今はカベルネの白が珍しがられて、一番売れているようですが、そのほかのワインも、同様の品質を持ち、見逃せません。白ワインはピュアで、フレッシュ。赤ワインはフルーティーで程よいボディがあります。どのワインも重たさが無く、飲み飽きないタイプです。

ラダチーニのワインを飲む事で、モルドバと繋がれたと言う喜びもありました。
肩に力を入れず、毎日でも飲める愛らしいワインを、ぜひ皆様のテーブルでも楽しんで欲しいです。

みなさんと
ラダチーニ ワインズのワインはこちら⇒
突撃インタビューバックナンバーはこちら⇒