バローロの革命児「エリオアルターレ」最新ヴィンテージ試飲会に行ってきました!

2019/02/14

ロアーニャイタリアワインを「もっと楽しく」、「さらに身近に」飲んで楽しんで頂きたく、
トスカニースタッフが都内各所に出没いたします!

こんにちは!ロッチャです。
バローロの革命児「エリオアルターレ」最新ヴィンテージ試飲会に行ってきました!

エリオアルターレは、殆どのバローロ生産者が仲買人にブドウを売って生計を立てていた1970年代に、化学薬品を使わない質の高いブドウの栽培とバリックによる新しい醸造スタイルを導入、長期熟成が当然だったバローロを、若くても楽しめるモダンスタイルのバローロへ、いわゆる「バローロボーイズ」の先駆者として今も世界的に高い評価を得る「最高峰のバローロ」の生産者です!

エリオアルターレで注目すべきはその醸造のこだわりです。15分で1回転する回転式発酵槽「ロータリーファーメンター」を採用することでマセラシオンの期間を短く出来、エリオが求めるよりエレガントで華やかなワインに仕上げていきます。熟成にはバリック樽を使いますが、生命力豊かなエリオのブドウは樽の風味に負けず、力強くも実に滑らかな調和があり優雅なスタイルとなっています。

生産者の力量が問われたバローロ2014年は、エリオアルターレも「農民の年」と言うように徹底した手仕事が反映されたヴィンテージ。
試飲したワインは美しいフィニッシュがあり、流石の出来映え。エリオアルターレをしる上で是非知っておきたいヴィンテージです!

ランゲロッソ2015年3種はパワーとフィネスが融合した完成度の高さが光るヴィンテージ。
現時点でも楽しめますが、スケール感があり長期熟成も楽しみなヴィンテージです!

 

エリオアルターレ

北斜面
ドルチェット
バルベーラ

南斜面
アルボリーナ「頂上部」=バルベーラ※お爺さんが一番良い区画に自家用ワインを造る為に植えていたのが「ラリジ」のバルベーラ
アルボリーナ「中腹部」=ネッビオーロ「バローロ・アルボリーナ」「ランゲ・ロッソ・ジャルボリーナ」
アルボリーナ「下腹部」=カベルネ、シラー、プティ・ヴェルド※早熟品種「インシエイメ」

ドルチェット ダルバ 2017 エリオ アルターレ
ドルチェット ダルバ 2017 エリオ アルターレ

明るいルビーの色調。完熟チェリーやスミレの花に甘草のニュアンスが綺麗に重なる。イキイキとした豊かな香り。ジューシーで充実した果実感の滑らかな口当たり、ボディを支える酸とタンニンのおかげでもたつきが無く、緊張感がある美しいボディをキープしている。若いヴィンテージのドルチェットに感じられるような一種の「青さ」というものがなく、完熟度の高いブドウの豊かさ、厳格過ぎない伸びやかなスタイルが非常に魅力的な仕上がり。料理と合わせる事で更にその真価を発揮するワイン。ピエモンテ伝統料理の牛のタルタルと。サラミをふんだんに使ったピッツァ、豚肉料理と。

 

バルベーラ ダルバ 2017 エリオ アルターレ
バルベーラ ダルバ 2017 エリオ アルターレ

スミレの花やブラックチェリーの上品な香りに、このクラスでは考えられない程の濃密でジューシーな果実感があります。ボディを支える酸とミネラル、柔らかいタンニンが果実感と上品に広がる控えめな樽香が美しく重なり合います。緻密で豊かな風味がありながらも、重々しさは感じさせず、舌の上を軽やかに駆けていくような酸とミネラルが素晴らしく、余韻までエレガントな飲み心地が続きます。素晴らしいブドウの完熟感とメリハリの効いたボディが溶け合う白眉の出来映え。ピエモンテの伝統料理アニョロッティダルプリンと。お肉料理、チーズ全般と。

2015ヴィンテージの特徴(エリオアルターレより)

 

エリオアルターレ
2015年は乾燥の年。
「特にブドウ樹、そして果実の生育期である4月~9月にかけては例年の半分程度しか雨が降らなかった。どれだけ冬の間に水分を土壌が蓄えられていたか。また葡萄の根が表土だけでなく、サブソイル(下層土)まで地中深く伸びているかが問われた。また、品種別に見ると水分ストレスに弱いバルベーラはストレスを強く受けたと言える。
ピエモンテは2014年の12月~2015年の2月までで4回雪が降り、土壌はしっかりと水分を蓄えた。これが後の乾燥から葡萄樹を守ってくれたことになる。冬季の気温は比較的高めで、ブドウ樹は少し春を早めに感じ、樹液の動きや春に向けての活動は例年よりも早く動き出したようだった。開花、ヴェレゾンも2014年よりも2週間早かった。極端に雨が多い年の翌年は雨が少ないことを私達、農民は知っている。
4~6月は適度な雨があり、天候も良く理想的だったが、7月はまとまった雨が1度も無かった。7月の気温は平均より5度近く高く、極度の乾燥によって葡萄果実が焼けるのを防ぐ為に葉を多く残し、葡萄果実が影に入る時間帯を増やす努力をすることにした。それでも葡萄は例年以上の糖度(=アルコール)、色素を得ていた。ワインとしてバランスする為にはリンゴ酸が落ちる前にある程度の酸度を確保して収穫する必要があった。
8月に入るとまとまった雨が降り、気温も下がったのでブドウは過熟というところまではいかずにバランスしてくれた。最も重要だったのは9月に入っても高温と乾燥が続いた中で、収穫前に少しだけ雨が降り、気温も下がったこと。収穫前の2週間が葡萄にとっては最も大切な時期だが、この年は暑さと乾燥に悩まされたが、収穫前に少しの雨と気温の下落があったので最終的に甘くて単純で重たい年にはならなかったのだ。素晴らしい年と言える」

エリオアルターレが造る3種類のランゲロッソ

ランゲ ロッソ ラリジ 2015 エリオ アルターレ

2015ヴィンテージのランゲロッソ3種試飲。
「パワー」と「フィネス」が融合した完成度の高さがあり、素晴らしい出来映え。

 

ランゲ ロッソ ラリジ 2015 エリオ アルターレ

100%バルベーラ

樹齢70年(1948年に植樹)という貴重なバルベーラから造られる。ラリジという区画はアルボリーナの頂上部、最も良い区画にある。お爺さんが自家消費用のワインを造る為に自分の一番好きなバルベーラを植えていた名残。ジャコモ・ブライダと共に1982年からバルベーラの新しい可能性を求めて造り始めたワイン。100%新樽のバリックで18ヵ月間熟成。

深いルビー色。赤い花やプラム、ビターチョコ、スパイス、バニラのニュアンスが強く感じられます。飲むと、濃密で深い果実感と力強いボディがありますが、スタイルは洗練されていて非常に滑らかでスムーズな口当たり。筋の通った綺麗な酸とシルキーなタンニンが渾然一体となり、極上の飲み心地。アマローネを彷彿させるボディとブルゴーニュ的なエレガンスを纏う唯一無二のバルベーラといえます。鴨胸肉のグリルにグリオットチェリーを煮詰めたソースで。グリルした赤身肉料理全般と。

 

ランゲ ロッソ ジャアルボリーナ 2015 エリオ アルターレ
ランゲ ロッソ ジャアルボリーナ 2015 エリオ アルターレ
100%ネッビオーロ

ブドウはアルボリーナのネッビオーロのみを使用するが、ランゲ ロッソは畑名を名乗れなくなったのを受けて「ジャ・アルボリーナ(既にアルボリーナだった)」と皮肉を込めて名称変更。収穫時期等全てバローロ・アルボリーナと同じで、違いはバリック比率と熟成期間のみ。バローロ・アルボリーナは新バリッック30%で24ヶ月熟成、後に瓶熟1年。ランゲ・ロッソ・ジャルボリーナは100%新樽のバリックで18ヵ月間熟成。

淡いガーネットの色調。チェリー、スミレの花、スパイス、甘草、バニラ、ミントのニュアンスが溶け合う堂々たるインパクト。芯に酸が通った美しいタッチのボディ構成。厳格なネッビオーロの個性がありながら、甘やかなバリックの風味が纏め上げる優れたボディバランス。余韻も非常に長い。ピエモンテで食される赤身肉のフライ(フリットディ ビステッキーネ)と。お肉料理全般と。

 

 

ランゲ ロッソ ラ ヴィッラ 2015 エリオ アルターレ
ランゲ ロッソ ラ ヴィッラ 2015 エリオ アルターレ
50%ネッビオーロ、50%バルベーラ

ネッビオーロとバルベーラというこの地域で伝統的に造られていたアッサンブラージュ・ワイン。1989年がファーストヴィンテージで当時はモンフォルテのラ・ヴィッラ畑の葡萄を使用していた名残で「ラ・ヴィッラ」という名前を残している。現在はアルボリーナとラリジの葡萄を使用して100%新樽のバリックで18ヵ月間熟成。

伝統的アッサンブラージュワイン。淡いガーネットの色調。プラム、チェリー、スミレの花の香り。厚みありながらもバランスが良く2つの品種個性が上手に溶けあう。力強くもエレガント。羊のグリルに焼き野菜を添えて。お肉料理全般と。

 

 

2014ヴィンテージの特徴(エリオアルターレより)

 

エリオアルターレ

私達は2014年を「農民の年」と呼んでいる。

皆さんご存知の通り、通常年の2倍もの雨が降った2014年。酷い天候のお陰で、特に8月の後半は毎日、毎日、非常に激しい労働を畑でしなければならなかった。というのは、雨のお陰で畑は湿気が多かったので、これが原因で病気もカビも多かった。健全な葡萄を手に入れる為には腐敗果をしっかり早い段階で取り除くことが求められた。だから私達は毎日畑に出て、手作業で腐敗果を取り除いた。これによって収量は例年の40%まで落ちてしまった。自分達の手で60%もの葡萄を切り落とす作業をしなければならなかった。これは収量を諦めてでも最高の品質を追求することがエリオ・アルターレの仕事で飲み手を裏切りたくないから。

品種別には、ドルチェットやバルベーラのような早熟のブドウ(通常9月前半に収穫期を迎える葡萄品種)は例年のような熟度までを求めず、その手前の段階でバランスの良い状態で収穫。フレッシュさと低いアルコール度数の軽快なワインを造る決断をした。2014年という年を考えた上でベストの判断をしたことになる。

間違えないで欲しいのは「ネッビオーロは全く反対」だということ。例年、収穫時期が9月後半から10月になる晩熟のネッビオーロはドルチェットやバルベーラと同じように8月までの雨で苦しみ、収量は40%まで減った。しかし、9月中旬以降、雨は止み、気温は例年以上に上がり乾燥した。8月までの雨の時期にしっかり腐敗果を取り除く決断をした造り手のネッビオーロは最も重要な収穫前1週間を太陽と乾燥によって救われた。見事に成熟したのだ。結果、私達のバローロは見事なテンションとエネルギーを持ちながら酸度もしっかり感じさせてくれる。多くの人達を驚かせるはずだ。

バローロ 2014 エリオ アルターレ
バローロ 2014 エリオ アルターレ

単一畑の考え方が浸透する以前のバローロの伝統であった色々な畑の葡萄をアッサンブラージュすることでバランスさせるクラシック・バローロ。ラ・モッラ、カスティリオーネ、セッラルンガの葡萄を使用する。醸造は他のバローロと同じく、水平式ステンレスタンクで4~5日のマセラシオン。熟成はバリックで24ヶ月(30%新樽)

チェリーの落ち着いた果実香にスミレの花、ミントが重なる。厳格さはあるもののエレガント。酸とミネラルの美しさが光り果実の凝縮感も感じられる。素晴らしい職人の手仕事が感じられる。調和のとれた近づきやすいヴィンテージ。赤身肉料理全般と。

 

 

 

バローロ アルボリーナ 2014 エリオ アルターレ
バローロ アルボリーナ 2014 エリオ アルターレ

ラ・モッラを代表する畑の1つでカンティーナの真下に広がる畑。砂質が非常に強いので最もラ・モッラらしい畑とも言われる。悲運なのは雹の通り道になっているので雹害が多い事。アルターレでは雹対策でネットを張り、雹害から葡萄を守っている。4~5日のマセラシオン。熟成はバリックで24ヶ月(30%新樽)

エッジにオレンジがうっすら入るやや濃い目のガーネットの色調。スミレの花びらやプラム、黒スグリ、ペパーミントに甘草を想起させる複雑なニュアンス。力強く厚みのあるボディにメリハリの効いた酸とミネラルが印象的です。タンニンもバランスが取れていて総じてエレガント。余韻は非常に長くスケールの大きな見事なワインとなっています。赤身肉料理全般と。

 

 

バローロ カンヌビ 2014 エリオ アルターレ
バローロ カンヌビ 2014 エリオ アルターレ

2012年から造り始めたカンヌビの中でも最も優れた区画と言われる中央部、カンヌビ・カンヌビと呼ばれる区画。樹齢は30年。ビオロジックで畑を再生し、完璧な状態になっている。水平式ステンレスタンクで4~5日のマセラシオン。熟成はバリックで24ヶ月(30%新樽)。年産1500本。栽培はTESUさんが担当。

淡いガーネットの色調。チェリー、スミレ、ミントにハーブが溶け合う香り。果実味、酸、タンニンのバランスが素晴らしくエレガントさが際立つ。中盤からしっかりとしたパワーもあり持続性のある豊かな味わい。熟成させてみたいワイン。赤身肉料理全般と。

 

 

 

バローロ チェレッタ ヴィーニャ ブリッコ 2008 エリオ アルターレ
バローロ チェレッタ ヴィーニャ ブリッコ 2008 エリオ アルターレ
(試飲は2012ヴィンテージ)

「セッラルンガ・ダルバ」チェレッタはジャコモ・コンテルノ等16生産者が所有しているが、ヴィーニャ・ブリッコは3生産者のみ。鉄分が多い畑。水平式ステンレスタンクで4~5日のマセラシオン。熟成はバリックで36ヶ月(30%新樽)。チェレッタは硬質なので最低3年瓶内熟成を経てから出荷される。チェレッタらしさとエリオ・アルターレらしさが両方感じられるのが素晴らしい。

やや濃い目のガーネット。チェリー、スミレ、鉄分、プルーンにスパイスが重なる香り。骨格の強さがあり、ミネラルと酸、タンニンは高次元で纏まりを見せている。現時点でも楽しめるが長期熟成で更に発展していくであろうワイン。余韻に感じる鉄のニュアンスがあり、セッラルンガのテロワールが感じられる。

 

 

エリオアルターレ

エリオアルターレのエレガントで胸に染み入るような深い味わいが印象的でした☆☆☆

以上ロッチャの「行ってきました」でした。次回もお楽しみに!

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