「飲み頃まで待ってリリースする」こだわりの長期樽熟成プーリア「ロッカディモリ」

2018/02/08
突撃インタビュー
 
2018年2月5日 ロッカ デイ モリ社 マッシミリアーノ アポロニオ氏

上位クラスは良いヴィンテージしか造らない!南部イタリアエノロゴ協会の会長が造る「飲み頃まで待ってリリースする」こだわりの長期樽熟成プーリア「ロッカディモリ」

ロッカ デイ モリ社 マッシミリアーノ アポロニオ氏と
南イタリア、プーリア州に僅か5軒の生産者しかいない非常に小さなDOCコペルティーノ地区で世界中から賞賛を集める家族経営の生産者があります。1870年からワイン造りの歴史を持つ「ロッカ デイ モリ」。現在4代目のマッシミリアーノ アポロニオ氏は南部イタリア エノロゴ協会会長職に就くイタリアを代表する実力派エノロゴ。30~45日間の長期マセラシオンで土着品種のポテンシャルを余すところなく引き出し、伝統的な大樽と近代的なバリックを巧みに使い、長期樽熟成で深く鮮やかなブドウの味わいを見事に引き出しています。上位キュヴェ「スクインツァーノリゼルヴァ」は良いヴィンテージから造らない拘りがあり、現在リリースしている2008年の次はなんと2014年!熟成にかけるロッカ デイ モリのこだわりは「イタリア随一」と言っても良い程。上位キュヴェに使用するコルクもアンジェロガヤやピオチェーザレが使用する最高品質の550ミリのロングコルクを採用していて、イタリア最高峰生産者と何ら変わらない超一流の拘りがワイン造りに貫かれています。今回2度目の来日を果たした4代目のマッシミリアーノ アポロニオ氏にお話を聞きました。

南部イタリア エノロゴ協会会長を務めるマッシミリアーノ氏

マッシミリアーノ アポロニオ氏マッシミリアーノ アポロニオ氏
ロッカ デイ モリのエノロゴで1995年よりモンテローニ ディ レッチェにあるアッポローニオ社の取締役。

プーリア・バジリカータ・カラブリアを管轄する南部イタリア エノロゴ協会会長、プーリア州ワイン観光協会をはじめ様々な役職に就き、「プーリアの顔」として活動。またテイスター協会の公認講師も務める。

ワイナリーは1870年代からワイン造りを始め、約150年近いワイン造りの歴史があります。イタリア企業の歴史検証を厳密に行う「イタリア歴史的企業協会」(UISI Italia)によってトスカーナの「ビオンディサンティ」「アンティノリ」等と共に歴史的ワイナリーとして認められています。1960年に会社を設立し、1975年から自社でボトリングを始めています。

「プーリアの土着品種、テロワールをワインで表現」

アポロニオ兄弟 DOCコペルティーノで家族経営でワイナリーを運営
私達のワイナリーは家族経営でプーリア南部のレッチェ県のコペルティーノに位置します。DOCコペルティーノは僅か5生産者のみの非常に小さなエリアです。兄のマルチェッロ アポロニオ(1964年生)が社長、私(1971年生)がエノロゴで二人を中心に7名のスタッフで運営しています。所有するブドウ畑はコペルティーノ、スクインツァーノを中心に50ヘクタールと約80ヘクタールの信頼のおける契約農家からの買い取りブドウでワイン造りを行っています。

地図

コペルティーノ、サリーチェサレンティーノ、スクインツァーノの3つのDOCからワインを造る
ここプーリアはヴェネト州に続いてワインの生産量が多いイタリアでも上位の生産量を誇る州です。日照時間もありブドウ栽培に適した気候で、栽培されている土着品種だけでも約100以上に上ります。プーリアには29のDOP、6つのIGPの原産地呼称が存在します。

ロッカ デイ モリはDOCコペルティーノ、サリーチェサレンティーノ、スクインツァーノの3つのDOCからワインを造っています。有名な品種はプリミティーヴォ、ネグロアマーロがあります。しかしまだまだ世界に知られていないブドウ品種が沢山あります。

「プーリアの土着品種、テロワールをワインで表現」
私達の使命は「プーリアの土着品種、テロワールをワインで表現」する事です。イギリス市場などでは国際品種であるカベルネソーヴィニョンを使った方が人気が出ると思うのですが、私達はプーリアの土着品種に拘りたいと考えています。

プーリア州全体でみると、プーリア産のブドウがプーリア州のワインとしてボトリングされるのが現在全体の50%です。バルク売りやブドウを他州へ販売する事が多いのです。15年前は更に少なく13%しかありませんでしたから、ここ10年でプーリアワインの持つポテンシャルが大変注目されている良い証だと思います。

「古代ギリシャ人によって約3000年も前にブドウがプーリアに伝わる」
歴史のあるプーリアから様々な品種がイタリア各地に伝わって行きました。例えばシチリアの著名な白ブドウ品種グリッロや、プーリアの土着品種「ネーロディトロイアの息子」と呼ばれているトスカーナのサンジョヴェーゼ。そのどちらも古代ギリシャ人によって約3000年も前にブドウがプーリアに伝わったとされているのです。ですので、プーリア、バジリカータ、カラブリア等は古代に伝わったとされるブドウ品種の宝庫となっています。私の名前「アポローニオ」もギリシャ的な名前です。

1800年代後半にヨーロッパ中のブドウ樹を壊滅的な状態に追いやった害虫フィロキセラ以前には「ネグロアマーロ」ではなく「ネグロドルチェ」という品種も栽培されていました。現在僅かに栽培されているアレアティコやススマニエッロを含め、全て元々プーリアを起源に広まったブドウとされているのです。

 

「化学肥料や農薬を使わずとも良質のブドウが育つ栽培に理想的な場所」

畑

プーリアで昔から伝統的に行われているアルベレッロ プリエーゼ
栽培に関しては一般的には収量が多く見込めるスパリエーゼの仕立て(1ヘクタール当たり1万5000~2万キロ)が多いのですが、ロッカ デイ モリのワインにはプーリアで昔から伝統的に行われているアルベレッロ プリエーゼ(alberello pugliese・現在ユネスコ世界自然遺産に申請中)を採用しています。(下位ラインのONLYROSSO、ONLYBIANCOとは栽培法は異なります)

アルベレッロプリエーゼ「何をせずとも自然とビオロジック栽培が歴史的に行われているブドウ栽培に理想的な場所」
アルベレッロ プリエーゼの栽培法の特徴はブドウの房が直接日光にさらされないように葉で覆う仕立てとなっています。収量は(1ヘクタール当たり5000キロ)とかなり低くなります。夜中、若しくは早朝の比較的涼しい時間帯に手摘みで収穫する事で熱ダメージを受けていない良質のブドウを収穫します。プーリアは日照量も多く、風も吹き抜ける地なので、農薬や化学肥料を使わずともカビや病気になりにくく、良質のブドウが得られます。自然とビオロジック栽培が歴史的に行われているブドウ栽培に理想的な場所なのです。

ネグロアマーロ土着品種「ネグロアマーロ」と「プリミティーヴォ」
ギリシャ語でネグロ(黒)を意味する土着品種ネグロアマーロはその昔はロゼに良く使用されていました。昔から良いブドウでロゼを造る伝統があったからです。ネグロアマーロには酸とタンニンがあり、醸造によって辛口~甘口までとても使い勝手の良いブドウです。プリミティーヴォであればよい赤ワインは出来ますが、ロゼは難しいと思います。しかしネグロアマーロの栽培、醸造は難しいもので、他の品種と違いひと時も目が離せません。常にケアが必要なブドウであり、ロゼを造る際は酸化を進ませないように2倍の手間をかけています。プリミティーヴォはプリマテッチョ(収穫が早いという意味)が由来で毎年良くワインを造ります。

バローロから伝わったプーリア大樽熟成の歴史

樽バローロから伝わったプーリア大樽熟成の歴史
私の祖父の時代はピエモンテエリア、特にバロリスタ「Barolista」(バローロエリアの生産者)にプーリアのブドウを売っていた歴史があります。その昔、プーリアの土着品種であるネグロアマーロはネッビオーロに共通する強いタンニン分、アルコール度数もネッビオーロに比べ上がりやすいという事から、当時は一部のバローロにネグロアマーロが混ぜられていたという話も聞きます。プーリアのブドウをピエモンテに売っていた事で、バローロの伝統的熟成に使われた大樽熟成のテクニック、ノウハウがプーリアに伝わったとされています。現在のようにバリックは使っていませんでしたから、バローロの影響を受けた当時のプーリアワインは醗酵、熟成共に大樽で行われていたものも見受けられました。

オールドボトル『デカンター』誌のブラインドテイスティングでコペルティーノ1978ヴィンテージが高い評価を受ける
ワイナリーには1938年、1970年、1966年等オールドヴィンテージも保管されています。販売と言うよりも、家族や兄弟の誕生年を記念してボトリングされたものです。私の娘が産まれた2003ヴィンテージは個人的に200~300本はストックしています。「そんなに古いプーリアのワインが飲めるのか?」と思いになるでしょうが、私達のコペルティーノは『デカンター』誌のブラインドテイスティングで40年近く経った1978ヴィンテージが高い評価を受けました。しっかりと熟成能力も備えている事をしっかりと評価して頂きました。

「栽培農家から自社ボトリングへ」プーリアワインの品質向上につながったキッカケのひとつ「ワイン戦争」
1950年代に入ると、北イタリアの生産者を中心にワインの販売価格を下げていく動きが活発になりました。北部へワインやブドウを供給する南部のブドウ栽培家にとっては、そのしわ寄せが来てしまい、ブドウの売買価格も下げられた事でデモなどが起きていました。過激な運動で死傷者も出て、「ワイン戦争」と呼ばれる悲惨な時代がありました。プーリアのブドウ栽培農家の多くは「自ら品質の高いワインをボトリングしよう」というプーリアワインの品質向上におけるひとつのキッカケにもなった事件です。

良い年だけボトリング!ガヤやピオチェーザレも使う長期熟成可能な550ミリのロングコルクを使用

スクインツァーノ大

ロッカ デイ モリは良い年だけボトリングする拘り
実はロッカ デイ モリのワインは毎年ボトリングを行っていません。良い年だけボトリングします。ノーマルな年と判断した時は格下げして、違うラインナップとして瓶詰します。それだけロッカ デイ モリのシリーズは良く吟味してからボトリングをしています。

伝統的長期マセラシオンでブドウのポテンシャルをゆっくりと引き出す
祖父の時代は醗酵温度が高くなった時には、人の手で樽に水をかけたり、醸造所を地下に下げたり等様々な工夫が行われました。今では温度管理できる設備が整っているので150年前の良い部分は踏襲しつつ、温度管理技術に代表されるような近代技術は取り入れています。120ヘクトリットルのスロヴェニア産のとても大きな樽で醗酵、白は7日間から、赤は30~45日間の長期マセラシオンでゆっくりとブドウのポテンシャルを引き出すスタイルは昔から引き継がれてきた醸造法を踏襲しています。

伝統的大樽とバリックで長期熟成
樽熟成に関してはバリック(1~3年樽を使用)で6~24カ月間熟成後、再び伝統的大樽に数カ月間戻し、ワインを落ち着かせます。清澄や濾過等は行わず、出来る限り自然な状態でワインをボトリングします。

「長い発酵、熟成によってワインがいろいろな力を溜め込む」
このように仕上げられたワインは伝統的な長期熟成型のワインとなります。長い発酵、熟成によってワインがいろいろな力を溜め込むので、それをフィルターで除去することはしたくないと考えています。

コルク通常の5倍以上の価格!ガヤやピオチェーザレも使う長期熟成可能な550ミリのロングコルク
ロッカ デイ モリに使用するコルクは550ミリの最高品質の樫の木(主にポルトガル・アモリア産、サルデーニャ・モリナス産の樹齢25年以上のもの)から造られています。この長いコルクは通常使用するコルクに比べ価格差は5倍以上ありますが、私達のワインに必要だと思い使っています。コルクの色が良くないのは、漂白をしていないためです。それも「自分達を表現する方法のひとつ」だと考えています。このサイズのコルクを使っているのはバローロ、バルバレスコの造り手として世界的名声を得るピオチェーザレ、アンジェロガヤのバルバレスコです。私達はコルクに最大限のケアをしています。例えばコルクに使われる樫の木でも根に近い部分は品質が安定しないので使用しません。長いコルクという事は樫の木でも良質の部位が使われている事の証でもあります。

「赤ワインと同じように扱う」をコンセプトに造る記憶に残る白
樽熟ならではの濃密さと、力強い酸とミネラルが調和したした個性あふれる美味しさ
サレント ビアンコ エレナ 2015
サレント ビアンコ エレナ 2015


使用するブドウはガルガネガとグリッロ、シャルドネです。グリッロはシチリアが有名ですが、元々プーリアからシチリアに伝わったとされています。ガルガネガはグレカニコの派生品種とされています。
醗酵と熟成は225リットルのアカシア樽で行います。プーリアではロッカ デイ モリのみが行っている醸造法です。美味しいワインを造る事は重要ですが、それ以上に重要な事は飲んだ方が「これはロッカ デイ モリのワインだね!」とすぐにわかる事が最も重要だと思っています。
試飲コメント:マイルドなアタックですが濃厚で非常にボディの確りとした味わいです。フレッシュな味わいですが熟成も出来るワインです。和食などの繊細な料理とも相性が良いです。バターやクリーム、ハチミツのニュアンスの香り、アタックは甘くクリーミーですが、同時にしっかりとした酸とミネラルの存在を感じる、見事なバランスで甘ったるさは全くなく、続けて飲みたくなる心地よい美味しさ。鼻孔を抜ける心地よいアロマ、香ばしい余韻も実に印象的です。

出来の良い年だけ造られる凝縮感あふれる旨濃赤
ふくよかなボディと程よいスパイシー感が最高
コペルティーノ ロッソ 2015
コペルティーノ ロッソ 2015


コペルティーノロッソはタンニン分の強く抽出が弱い品種ネグロアマーロ70%、タンニンがソフトで抽出が強い品種モンテプルチアーノ30%のブレンドとなっています。この2つの品種はお互いをフォローし合うとても相性の良いものです。120ヘクトリットルのスロヴェニア産の大樽で醗酵、マセラシオンに30~45日間かけますフランス産オーク樽で6ヶ月、550ヘクトリットルの大樽に移し替えて数ヶ月熟成後、約6ヶ月間の瓶内熟成を経てリリースされます。
試飲コメント:凝縮した果実味や甘い樽、スパイシーなニュアンスのある香りがグラスから広がります。たっぷりとした果実感にあふれた味わいで心地よい甘さとなめらかなタンニンが広がっていきます。とてもバランスのとれた美味しさで、アルコール度数は高いのですがすーっと飲める優しい味わいです。

飲み頃になるまで待ってリリースするこだわりのサリーチェ サレンティーノ
程よい凝縮感と上品な果実味。いつまでも飲み続けたい美味しさ
サリーチェ サレンティーノ ロッソ 2014
サリーチェ サレンティーノ ロッソ 2014


現在では法律が変わり、サリーチェサレンティーノには一部国際品種をブレンドしても良い事になりましたが、私達は伝統的なネグロアマーロとマルヴァジアネーラの土着品種のブレンドに拘っています。ネグロアマーロのタンニンとマルヴァジアネーラの酸のバランスが取れています。畑は白亜質の粘土土壌で収穫は手摘みで行います。醗酵はスロヴェニア産の大樽で行い、マセラシオンに30~45日間かけます。フレンチのオークバリックで6カ月、更に瓶内熟成に6カ月間かけてからリリースします。
試飲コメント:プラムやチェリーなどのエレガントな果実味の香り、程よいボリューム感とビターなたるのニュアンスが溶け合う凝縮感のある上品な味わい。タンニンはしっかりありますが果実味、酸、ミネラルの調和が素晴らしく、口当たりが優しいので飲みやすさを感じます。抜栓した翌日には香りに凝縮感が加わり、上品さとボリューム感がアップした印象。1日目とはまた違う美味しさを楽しめます。

人気2大品種プリミティーヴォとモンテプルチアーノ
エレガントな熟成感とたっぷりとした凝縮感が融合した濃密な味わい
サレント ロッソ スルサム 2013
サレント ロッソ スルサム 2013


ロッカ デイ モリの中で一番売れているワインです。石灰質粘土土壌で栽培されているプリミティーヴォ(アメリカンオーク熟成)とモンテプルチアーノ(スロヴェニアオーク熟成)を半分ずつブレンドして造ったワインです。十分に成熟するまで待ってから収穫。やや遅気味の収穫ですが、こうすることで糖度と味わいの要素が凝縮したブドウ果実が得られます。大樽でアルコール発酵後、30~45日間マセラシオン。異なる2種類の樽で12ヶ月間熟成してボトリング。その後、ワイナリーの熟成庫で飲み頃になるまで寝かします。
試飲コメント:熟成感あふれる香りにはタバコや甘いスパイスなどのアロマと、ドライフルーツやジャムを思わせる凝縮したニュアンスも感じられ、とても複雑味があります。過熟した果実味のあるとてもまろやかな味わいで、程よい酸となめらかなタンニンが心地よく、フレッシュ感も感じられます。フルーティーさのある長い余韻も印象的。

唯一無二のプリミティーヴォへのこだわり!凝縮感がありながら驚くほどのエレガントな味わい
プリミティーヴォ サレント ブリアコ 2013
プリミティーヴォ サレント ブリアコ 2013


大樽でアルコール発酵後マセラシオンは30~45日間かけて行います。アメリカンオークの樽で12カ月間、その後最低でも12カ月間瓶内熟成を経て、ワイナリーで飲み頃になるまで熟成させています。ブリアコは数年間熟成させないと良さが出てこない。私達にしか出来ない特殊なワインを造りたいという想いから土着品種のプリミティーヴォを使いました。カベルネソーヴィニョンやメルローからビッグワインを造る事は簡単でしょう。「プーリアの土着品種でビッグワインを造る」という思いが詰まったワインです。
試飲コメント:甘く濃密な果実の香りにスパイシーなニュアンスのある複雑なアロマ、凝縮感のある味わいながら驚くほどにエレガントで飲み心地がとてもスムーズでなめらか。アマローネのような凝縮感、スモーキーでビターなタンニンがありながら酸は角がなく飲みやすい味わいです。優しい酸と繊細なタンニン、そして程よい果実の甘みがバランスよく調和。「自分たちにしかできないプリミティーヴォを造る」というこだわりをしっかりと感じます。

ロッカ デイ モリのフラッグシップ
本当に納得のいく最高の年だけに造られる偉大なリゼルヴァ
スクインツァーノ リゼルヴァ ウイリエーザ 2008
スクインツァーノ リゼルヴァ ウイリエーザ 2008


ネグロアマーロ70%、サンジョヴェーゼ30%のブレンドから成ります。現在販売している2008ヴィンテージの次は2014ヴィンテージの販売です。2009~2013ヴィンテージはボトリングをしませんでした。プリミティーヴォにはないネグロアマーロのエレガントさがあります。120ヘクトリットルの大樽で醗酵、マセラシオンは約45日間行います。熟成にはジュピエ(Jupille)産のバリックで24カ月間熟成させます。ジュピエ産のバリックは通常のバリックの約2倍のコストがかかります。とても高価な樽でフランスの格付けシャトーも使用している樽です。木目がとてもキメ細かくワインがゆっくりと熟成していきます。ほんのりピンクがかっている事から、ローズオークとも呼ばれています。私達が樽に拘るのは「樽材のニュアンスをつけることではなく」、ワインが長期熟成する為に良い樽を選んでいるのです。その後スロヴェニア産の大樽に移し替えを行い、数ヶ月間休ませてから約12ヶ月間の瓶内熟成を経てリリースされます。
試飲コメント:熟した赤い果実の中にやや野性的なスパイシーな風味を感じる複雑で心地よい香り。しっかりとしたストラクチャーのある力強い味わいはとてもなめらかでやさしく、エレガントなタンニンと心地よい酸とともに広がります。果実味豊かな長い余韻にはハーブのニュアンスも感じられます。全てにおいて素晴らしいボリューム感のある美味しさながら口当たりがやさしく上品なので、飲み疲れもありません。また、抜栓した翌日には上品さが増し、華やかなベリー系の果実の素晴らしい香りや風味を楽しめます。
インタビューを終えて
南部イタリアエノロゴ協会会長のマッシミリアーノ氏の丁寧な説明で、古代ギリシャから続く偉大な歴史、プーリアワインがバローロから学び得た大樽熟成のテクニック等、バルク売りが中心だったプーリアのワインがいかに品質向上していったのか、また新たな歴史を知る事が出来ました。

ロッカ デイ モリの長期樽熟成ばかりにスポットが当たりがちですが、樽の風味に負けないブドウのポテンシャルを最大限引き出す30~45日間の長期マセラシオンを行う拘りぶりを知りました。厳選された健全なブドウのみで醸造・熟成しているからこそ、他では成し得ないロッカ デイ モリの深い味わいが成り立つ事も改めて知りました。

今回試飲したサレントビアンコ「イエレーナ」は樽醗酵、樽熟成の旨みと厚みがありながらも、見事なミネラルの清らかさがあり、1000円台とは思えない完成度。以前飲んだヴィンテージよりも更に進化をしている印象。

トップキュヴェ「スクインツァーノリゼルヴァ」2008年は濃密さを引き締めるエレガンスが見事に感じられました。マッシミリアーノ氏も「ネグロアマーロは片時も目が離せないデリケートな品種」と話していたので、ダイナミックさと繊細さが熟成によって素晴らしく引き出されていました。『ワインアドヴォケイト』でも「濃密で分厚い黒い果実が層を成している」と絶賛されています。次回リリースするのは2014ヴィンテージと聞いてその拘りにも驚きました。「良しとしなければボトリングしない」イタリアを代表するエノロゴ、マッシミリアーノ氏らしいこだわりが凝縮されたワインです。

流行りに流されず、伝統的な栽培法や樽熟成を尊重するロッカデイモリのワインにはプーリアの醍醐味が詰まっています。それでいて家族経営らしい良心的な価格。是非多く方に飲んで頂きたいワインです。

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