トスカーナ州北西部、標高1000メートルの広大な渓谷でナチュラルなワイン造りを実践する「マエスタ デッラ フォルミカ」。彼らを代表するフラグシップワイン「リースリング」です。標高1,050mの畑でビオディナミ栽培で育てたリースリング100％を使用。マンゴやオレンジ、完熟果実の香り。綺麗な酸と際立ったミネラル感が特徴です。

標高1050メートル、フレッシュで複雑な味わいのリースリング

2025年7月、当主アンドレア エルミ氏にお話を聞きました。

「ドイツから持ち込んだ複数のクローンで造る年産1500本のリースリングです。標高1050メートルの畑のため、夏は短く、7月や8月でも夜は10～12度まで下がります。冬は雪が多く、12月から1月にかけて1ヶ月ほど積雪が続き、2024年は5月にも雪がありました。リースリングは毎年前年より向上しており、樹齢の上昇や土地の成熟が背景にあります。収穫は晩熟で10月末から11月頭、15～20％に貴腐菌がつきます。貴腐部分は全房発酵。24時間マセラシオン後、ステンレスタンクで12ヶ月澱とともに熟成します。

繊細な香りに加え、熟成でオイリーさも出て、酸がしっかりした複雑な味わいです。温度は自然に上げて飲んでいただきたいです。魚やきのこ料理、カヴォロネーロ（黒キャベツ）とも合います。『イル ゴロサリオ』のジャーナリスト、パオロ・マッソブリオ氏から、イタリアでTOP3のリースリング、と評価されたワインでもあります。」

2025年7月にリースリング2021ヴィンテージを試飲しました。深みのある黄金色。黄色い熟した果実やアプリコットのようなドライフルーツ、南国果実の香りが漂います。口に含むとフレッシュで鋭い酸が広がり、熟した果実味と軽やかさが共存した余韻が持続します。

標高1,050mで育てたリースリングを使用

畑はガルファニャーナ地区、アルプス アプアネ山のカレッジネ村に0.5ha所有。標高1,050mの昼夜の寒暖差の大きい特に冷涼な区画で、際立ったミネラル感がワインに含まれます。南-南西向きの砂、シルト、石の多い砂岩質土壌。リースリングの株自体はモーゼルの名門（ゼルバッハ オスター）から入手して、2014年に植樹しています。栽植はヘクタールあたり8,000本の高密植で、ヘクタールあたり11hlの超低収量。10月下旬-11月上旬に収穫しています。

無清澄で無濾過、SO2は必要最小限で瓶詰め

10-15％は貴腐ブドウを使用。発酵前に24時間の低温浸漬を実施。ステンレスタンクにて天然酵母を使って18℃で1ヶ月の発酵。続いてマロラクティック発酵を実施。タンクにて8ヶ月熟成。無清澄で無濾過、SO2の使用は最小限で瓶詰め。最低14ヶ月の瓶内熟成を経て出荷しています。

マエスタ デッラ フォルミカは、アンドレア・エルミ氏と、その友人マルコ・ラッファエッリ氏が2013年に設立した自然派ワイナリーです。拠点を構えるのは、トスカーナ北西部のアプアーネ山脈とアペニン山脈に挟まれた広大な渓谷。ピサ大学の醸造学専攻で知り合った二人が標高1000mの地で、自然に寄り添った自由な発想でワイン造りを行っています。

この地は、夏は昼夜の寒暖差が大きく、冬は積雪が多く、春は穏やかな晴天が続きます。昔から多様な品種が植えられており、トスカーナの土着品種だけでなく、シラーやガメイ、ブラウフレンキッシュといった品種までも栽培されてきました。当主アンドレア氏はこの地でどうしてもリースリングを育てたいと考え、モーゼルの名門「ゼルバッハ オスター」からリースリングの株を譲り受け、栽培を始めました。

自然に恵まれた素晴らしいテロワールを保つために、ビオディナミ農法を実践しICEA認証のオーガニック認証を取得。栽培と同様に、ワイン造りも最大限自然に近しい手法を実践しています。天然酵母による発酵、樽香をつけないようにタンクや古樽にて熟成、無清澄で無ろ過、SO2は最小限もしくは無添加。品種やブレンドなど自由な発想で醸造し、唯一無二のワインを造っています。