イタリアワイン界の頂点に立つ、単一畑キャンティ クラシコの先駆者「カステッロ ディ アマ」。アマの名を世界に知らしめた、イタリアンメルローの最高峰のひとつ「ラッパリータ」です。濃厚なダークチェリー、プラムのアロマに溢れ、酸、骨格、フルーツのエキスが継ぎ目なく融合されている滑らかな口当たり。フィニッシュに感じるスパイス、タバコのニュアンスとキメ細やかなタンニンが重なり合う余韻が非常に長く続く、濃厚でありながら極上のエレガンスをまとった素晴らしいメルローです。

アマの名を知らしめたフラッグシップ

世界屈指のメルロー100％スーパータスカン

2025年6月、当主マルコ パランティ氏にお話を聞きました。

「ラッパリータの区画は、ベッラヴィスタの一部にあります。1970年代半ばに植えられていたカナイオーロやマルヴァジアビアンカにボルドーのサンテミリオンのメルローを接ぎ木しました。初ヴィンテージは1985年。トスカーナでの高品質メルローの先駆けとなりました。その2年後にはマッセートなどの偉大なワインが続々と登場しました。標高500メートルの石灰土壌で育つメルローは力強く豊かでありながらエレガントで、暑い地域のような後口の苦味はありません。スーパータスカン全盛期に世界的評価を得て、アマを代表するフラッグシップとなりました。」

初リリースの1985年がシャトーペトリュスを超える評価を得た衝撃的なデビュー

当初は「ベッラヴィスタ」畑の一部で、補助品種としてメルローを植えているに過ぎませんでした。1985年、ラッパリータとして初めてリリースされるやいなや、世界中のメルローワインが集まるテイスティングで、シャトー ペトリュスより高い評価を受けました。世界中のワイン愛好家を驚愕の渦に巻き込んだセンセーショナルなデビューを果たしたのです。以降、オルネッライアのマッセートなど、トスカーナ地区で高品質なメルロのワインが誕生するきっかけとなりました。

惚れ惚れするような上品な色気をまとった偉大なワイン

黒い果実やチョコレート、ローズマリーの深みある美しい香りに内側にバラの花束、甘草、タバコの複雑な香り。驚くほど厳かで凛としたクールな印象ながら、時折魅せる内に秘めた力強さがこのワインの素晴らしいポテンシャルを物語っています。飲むと芯に感じる力強さがあるものの、非常に清らかで滑らかなタッチがあります。包み込むような美しさと精妙さ、噛み締めたくなるような味わい深さ、惚れ惚れするような上品な色気をまとった偉大なワインです。

ワインガイド評価

『アントニオ ガッローニ』98点（2019ヴィンテージ）

2019年のラパリータはこのヴィンテージでは信じられないほど力強い。巨大で焼けるようなタンニンが濃い果肉の核を包む。香、タバコ、チョコレート、モカ、ラベンダー、スパイスが開いていくが、ためらいがちにしか開かない。アマ・レンジのほとんどの2019年は現段階でかなり魅力的だが、ラパリータはセラー用のワインだ。言い換えれば、2019年は濃密で、忍耐を必要とする後戻りのアパリータである。

『ワインアドヴォケイト』98点（2019ヴィンテージ）

イタリアのエノロジーのスターの一人であるこの象徴的なワインは、名前はメルローだが精神はトスカーナだ。ラパリータはゴージャスなワインで、飲む者に大きな興奮とエネルギーをもたらす。テクスチャーはソフトでリッチだが、タンニンは穏やかで丸みがある。しかし、ブラックフルーツ、チェリー、甘いスパイス、タバコのシームレスな層があり、実質と骨格は十分にある。ワインの複雑性は、エレガントなミネラルの色調とメントールのような微妙な特徴によって高められている。温度管理と慎重なポンピング・オーバーが行われ、収穫時には果実が熟しすぎないよう細心の注意が払われる。多くの石を含む冷涼な石灰質土壌は、根を断熱し、フレッシュさを閉じ込める役割を果たす。このワインの秘密は、立地、日当たり、地質のマジックにある。このワインもまた、ラパリータのコレクターズ・エディションである。飲み頃2025-2046年（2023年2月）

キャンティ クラシコの頂点を極めた、イタリアワイン界の名門

イタリアが世界に誇る有名産地、キャンティ クラシコ。一昔前イメージが良くない不遇の時代があったキャンティ地区で造られるワインの地位を見事復活させたのがカステッロ ディ アマです。現在ワイナリーを指揮するのは、マルコ パランティ氏。彼は長年キャンティ クラシコ協会の会長を務め、『ガンベロロッソ』の年間最優秀ワインメーカー2003を受賞した人物。上質なキャンティ クラシコを造り続け、今もなお躍進を続ける世界最高レベルの造り手です。

キャンティ クラシコの地位を向上させた世界最高レベルの生産者

彼らが世界から注目を集めたのはトスカーナ初のメルロー100％で仕立てたキュヴェ「ラッパリータ」です。1985年にファーストヴィンテージをリリース後、各評価誌で高評価を獲得。1987年ヴィンテージでは、ミスターメルローと名高いミシェル ロラン氏が審査員で参加したプロの試飲会にて、ペトリュス、ルパンなどのワインを抑え1位に輝き、一躍その名を世界に知らしめました。

最高のワイン造りのために躍進を続け、クリュの概念を追求

マルコ氏が「キャンティ クラシコの地位を復活させた」と言われる理由。それは、キャンティが「早く飲める安ワイン」という存在だった時代に、「長期熟成しても美味しく飲めるキャンティ クラシコを造ること」と目標を掲げ、品質を高めるために収量制限をし、畑の特徴を活かすためブルゴーニュ的な「クリュ」ごとに収穫、醸造する方法を取り入れたことにあります。

彼が目指したのは、「キャンティ クラシコ」のワインを造るのではなく、あくまで「カステッロ ディ アマ」のワインを造ること。キャンティ クラシコの名に頼らず、自身の名に恥じない品質のワインを造るという不断の努力により、ワインの品質は劇的に向上しました。

アマのワインを紐解く重要な要素「テロワールを表現する哲学」

カステッロ ディ アマは、「標高およそ500メートル」「白い石灰岩土壌」「複数の渓谷がもたらす多様なテロワール」を有したエリア。マルコ氏はこのような恵まれた自身の畑を長年研究した結果、「クリュ」ごとの醸造を実践。「ワインを造る技術は良く知らなければならないが、良いワインを造るためには技術が勝ってはいけない」「ワインの後ろに自分がいて、テロワール、ブドウ、気候を表現していきたい」というマルコ氏の哲学を裏付ける重要なポイントと言えるでしょう。