トスカーナ州北西部、標高1000メートルの広大な渓谷でナチュラルなワイン造りを実践する「マエスタ デッラ フォルミカ」。樹齢20-150年のトレッビアーノ、マルヴァジア、シャルドネをブレンドで造る白ワイン「ヴィーニェスペールセ」です。洋ナシを連想させる豊かな香りで、パワフルでシャープな味わいです。高い樹齢による凝縮感とキレイな酸が熟成ポテンシャルをもたらす、上質な白ワインです。

ミネラル感が際立つ、樹齢の高い畑のブレンド白ワイン

2025年7月、当主アンドレア エルミ氏にお話を聞きました。

「点在する畑のトレッビアーノ、マルヴァジア、シャルドネをほぼ3分の1ずつブレンドしています。トレッビアーノとマルヴァジアは樹齢70～80年、シャルドネは樹齢20年ほど。トレッビアーノがミネラル感を、マルヴァジアがフレッシュでアロマティックな要素を、シャルドネがまろやかさを表現しています。ミネラル感が強いワインですが、暑かった2022年は山のワインというより島のワインのような印象かもしれません。ラベルは点在する小区画をパズルのように組み合わせた畑を表現しており、小さな村の名前を組み合わせています。」

2025年7月にヴィーニェスペールセ2022ヴィンテージを試飲しました。輝く黄金色。フレッシュかつ凝縮した白や黄色い果実に加えて栗を思わせる香りが広がります。口当たりはなめらかで綺麗な酸があり、クリーンな印象です。ハーブのニュアンスとともに塩味やミネラル感を伴う余韻が長く続きます。

樹齢20-150年のビオディナミ栽培で育てたブドウを使用

畑はカッシオ、ロッカルベルティ、カンポ、アンチスカーナの4つの異なる地区に散在しています。標高400-700mのビオディナミ栽培で育てた、樹齢20-150年のトレッビアーノ35％、マルヴァジア35％、シャルドネ30％を使用。1ヘクタールあたり30hlの低収量で9月に収穫しています。ワイン名の"ヴィーニェスペールセ"は「散在するブドウ畑」の意味です。

無清澄で無濾過、SO2は必要最小限で瓶詰め

トレッビアーノとマルヴァジア種は24時間の発酵前低温浸漬。シャルドネは90％除梗し、3週間の果皮浸漬。18℃でステンレスタンクにて天然酵母で発酵。タンクにて3ヶ月熟成（バトナージュ実施）。無清澄で無濾過、SO2の使用は最小限で瓶詰めしています。

マエスタ デッラ フォルミカは、アンドレア・エルミ氏と、その友人マルコ・ラッファエッリ氏が2013年に設立した自然派ワイナリーです。拠点を構えるのは、トスカーナ北西部のアプアーネ山脈とアペニン山脈に挟まれた広大な渓谷。ピサ大学の醸造学専攻で知り合った二人が標高1000mの地で、自然に寄り添った自由な発想でワイン造りを行っています。

この地は、夏は昼夜の寒暖差が大きく、冬は積雪が多く、春は穏やかな晴天が続きます。昔から多様な品種が植えられており、トスカーナの土着品種だけでなく、シラーやガメイ、ブラウフレンキッシュといった品種までも栽培されてきました。当主アンドレア氏はこの地でどうしてもリースリングを育てたいと考え、モーゼルの名門「ゼルバッハ オスター」からリースリングの株を譲り受け、栽培を始めました。

自然に恵まれた素晴らしいテロワールを保つために、ビオディナミ農法を実践しICEA認証のオーガニック認証を取得。栽培と同様に、ワイン造りも最大限自然に近しい手法を実践しています。天然酵母による発酵、樽香をつけないようにタンクや古樽にて熟成、無清澄で無ろ過、SO2は最小限もしくは無添加。品種やブレンドなど自由な発想で醸造し、唯一無二のワインを造っています。