バローロ地区最大規模の実力派生産者テッレ デル バローロの上級シリーズ「アルナルドリヴェラ」のバローロ カンヌビです。カンヌビの中でも最良の区画とされる畑で、パオロ スカヴィーノが2018年まで使っていた区画です。赤いバラ、レッドチェリー、甘草の香り。美しく非の打ちどころのないバランスと凝縮感と、なめらかで力強い長い余韻が残るバローロ カンヌビです。

ランゲ人曰く「悪魔に魂を売ってでも手に入れたいクリュ」

カンヌビは、バローロのクリュにおいて最も著名で、ランゲ人曰く「悪魔に魂を売ってでも手に入れたいクリュ」と言われます。歴史上、カンヌビの名がラベルに表示されたのは1752年。バローロの名が知られるずっと前のことです。現在のカンヌビは、ボスキス、サン ロレンツォ、ムスカテルといった周辺エリアもカンヌビとして認められていますが、歴史的には丘の中心に位置する19.5ヘクタールのみでした。

パオロ スカヴィーノが2018年まで使っていた区画

アルナルド リヴェラのカンヌビの畑は、カンヌビの中の歴史的な区画で、所有者はテッレ デル バローロに所属する栽培農家のミケリーナ フォンタナ。1985年から2018年までパオロ スカヴィーノに貸し出していました。1946年に植樹されたものでカンヌビの中でも最も古く、収穫量は少ないですが非常に優れた品質のブドウが得られます。標高300ｍの南東向き、地質は約900万年前トルトーナ期のサンタガタ　フォッシーリの泥灰土で、シルト55％、粘土21％、砂19％で構成されています。収穫したブドウは除梗、破砕した後、20-30度に温度管理したステンレスタンクで約20日間発酵させます。マロラクティック発酵と熟成は樽で実施。樽で32ヶ月熟成。ボトリング後に6ヶ月の瓶熟成を経て出荷しています。

美しく非の打ちどころのないバランスと凝縮感

ふくよかで明るいダークレッドの色調。赤いバラ、レッドチェリー、甘草、サンダルウッドの香り。透明感と切れ味があり、散りばめられたミネラルを感じます。ふくよかで力強く洗練されたタンニン。なめらかで力強い長い余韻。美しく非の打ちどころのないバランスと凝縮感があります。「カンヌビは他の畑よりも暖かい特徴がある」と2007年からトップエノロゴを務めるダニエーレ氏は語っています。真にカンヌビの個性を表現した傑作といえるワイン。カンヌビのテロワールを知るのに相応しいバローロです。

テッレ デル バローロの新しいプロジェクト"アルナルドリヴェラ"

"アルナルドリヴェラ"シリーズは2013年からスタートしたテッレ デル バローロの新しいプロジェクトです。最高の品質のワインを造るため、栽培農家の中で、特に優れた畑を持っている数軒と新たな契約を交わし、従来の葡萄の量に対して支払うのではなく、畑の面積に対して対価を支払います。これによって栽培農家は収入減の心配なく、思い切った収量制限を行うことが出来ます。また、栽培農家はテッレ デル バローロのアグロノミスト（栽培専門家）のチームに随時、栽培状況の報告を行い、またアグロノミストが定期的に畑のチェックを行います。ワイン名にあるアルナルドリヴェラは、1958年にテッレ デル バローロを創設し、このエリアのワイン造りの発展に貢献したアルナルド リヴェラ氏に敬意を表してつけられています。

ワインガイド評価

『ジェームズサックリング』95点（2020ヴィンテージ）

グラスに注ぐとカンヌビの豊かな風味が広がり、ダーク・ドライ・チェリー、ミント、土のニュアンス。シナモンとココアのヒント。フルボディで主張の強いフレーバー、埃っぽくも熟したタンニン、適度で爽やかな酸味。熟成に適した多くの要素を持ちながら、今飲んでも優美。（2024年7月）

創業は1958年一人の男性アルナルド・リヴェラ氏の提案で、たった22の生産者でスタート

テッレ デル バローロは、1958年12月8日にレジスタンス「アルノ」の指揮官だった、当時小学校の教師をしていた、カスティリオーネ出身のアルナルド・リヴェラ氏がブドウ栽培農家の協同組合を作ろうとしたことに始まります。当初、醸造会社や問屋が既得権の侵害を恐れて反対するだろう思われ、初回の収穫時には22の創業メンバーでスタートしましたが、彼らがブドウ栽培を続ける唯一のチャンスと生産者協同組合を位置づけるにいたり、現在は420人のメンバーを擁しています。

現在420の生産者が加盟。820ヘクタールを擁する大規模生産者協同組合に

テッレデルバローロは現在、アルバとバローロの間の渓谷に位置し、グリンザネカブールの村にある、ランガの畑、セッラルンガ、モンテフォルテダルバ、ディアーノダルバ、バローロ、ノヴェッロ、ラモッラ、ヴェルドゥノ、ロディとカスティリオーネファレットに820haの畑を持ち、ドルチェット、バルベーラ、ネッビオーロ、バローロなどを生産しています。二人の農学者が畑での作業から収穫時期まで細かく指導、最新技術への投資や新しい大樽の導入と相まって、品質の向上を図っています。

「品質を向上させるために様々な試みをし、またモダンな要素を否定するわけではないが、出来上がったものを見ると伝統的な味すじを守っていることが分かってもらえると思う。」 と彼らは語ります。協同組合という大きな組織のメリットは、良い畑、良いワインだけを選んで瓶詰できること。イタリアワインと食材に見識の高い、バートン・アンダーソン氏も著書「ポケットブック イタリアワイン」でバローロの優良生産者として紹介しています。