特別なワインのために厳選した畑で造る上級モンテプルチアーノ ダブルッツォ

アブルッツォの新世代「ティベリオ」が造る上級モンテプルチアーノ ダブルッツォ「コッレ ヴォータ」。キュヴェ「アルキヴィオ」の畑の中から、樹齢問わずに特別な赤ワインができる畑を選抜して造られています。

『アントニオガッローニ』95点（2018ヴィンテージ）

「2018年のモンテプルチアーノ ダブルッツォ コッレ ヴォータは、ダークでエキゾチックなスパイシーさと力強さを持ち上げている。チョークで乾燥させたスミレとラベンダーがプラムの皮とブラックカラントにカレースパイスをまぶしている。シルクのような、ヴェルヴェットのようなテクスチャーで、力強くフローラルな味わいは、グリーンボタニカルが生き生きとしたワイルドベリーと混じり合い、やがてピーチのニュアンスへと変化していく。エキゾチックな柑橘類とスパイスの凝縮が、味わいの周囲でジュージューと音を立て、軽やかな骨格ながらフレッシュなフィナーレまで驚くほど長く続く。ここには多くの層がある。コッレヴォータは、ティベリオの畑の中の砂の多い石混じりの土壌に植えられた単一区画のブドウの樹から造られており、果実は小さく、果皮は厚い。2018年を今開けるなら、デキャンタージュすることを強く勧める。」

フリーランジュースのみをステンレスタンクで発酵

キュヴェ・アルキヴィオを産する古い区画の畑からのマッサルセレクションで植樹した区画のうち、若い樹齢に関係なく際立って特別な赤ワインのできる畑のブドウを選んで造られています。ステンレスタンクで発酵させ、フリーランジュースのみで醸造させます。ステンレスタンクで20か月熟成させ、瓶詰後には最低12ヶ月熟成してリリースされます。

濃密ながらも滑らか。新世代、新スタイルのモンテプルチアーノ

2023年7月にアルキヴィオ2018年を試飲しました。輸入元のラシーヌさんでは1年前（2022年）に入荷していましたが、その時点で試飲した結果、しばらく寝かせてから出荷しようということになり、今回ようやくのお披露目になりました。果実やスパイス、そしてハーブなどの様々な香りを感じる複雑味あふれる香り。濃密ながらもなめらかなテクスチャーの味わいで、まだ固さはあるものの、アルコール度数の高さを感じさせないスムーズな飲み口に驚かされます。しっかりと酒質、バランスの取れた骨格。まさに新世代、新スタイルのモンテプルチアーノ ダブルッツォです。

ティベリオはペスカーラから内陸の山岳部に30km、クリスティアーナとアントニオの姉弟が運営するワイナリーです。2000年に樹齢60年を超えるトレッビアーノやモンテプルチアーノの畑を彼らの父が購入し、そこからセレクション マサルで畑を植えていき、合計30haの畑を所有しています。2008年に父親からワイナリー運営を譲り受け、姉弟でのワイン造りを開始。醸造を担当するクリスティアーナは明確な方向性をもってワインを造っており、特徴的であるのは、プレスを全く行わずフリーランジュースのみで醸造し、生産ワインの大部分をステンレスタンクのみで行うことです。

ブドウ栽培は主にアントニオが担当。ブドウ畑は海抜330-360メートルの間にあり、昼夜の温度差が大きく、比較的涼しい微気候に区分されます。所有する30haの畑は、いくつかのプロットに分割されていますが、全てセラーに近くにあります。古木の8ha以外は全て2000年代に植えられており、古樹を植え替える必要がある際も畑全体を植え替えることはせず、必要に応じてブドウの樹単位で交換していきます。植え替えの際の穂木はもちろんセレクション マサル(土地に根付いた株を独自に増やす方法)です。

ワイン醸造はクリスティアーナが担当しています。彼女は化学を専攻し、シャンパーニュ地方とオーストラリアで研修を受け、モーゼルとシャブリへも何度も足を運びながら知見を広げ、2011年にワイン醸造の全業務を引き継ぎました。ステンレスタンクで自然酵母醗酵。プレスは一切行わず、フリーランジュースのみを使用。標準的なワイン醸造レシピに従わないのは、ブドウやテロワールが “できないことを無理強いしない” ためです。

クリスティアーナの父親は反対したそうですが、ステンレスタンクによる醸造という選択についても、「ブドウがそれを望んでいる」から行っているという、彼女の感性と視点は非常に興味深く、マロラクティック醗酵もあえて行わないことで、ワインに特有の緊張感を与えています。広いセラーは整然とタンク類が配列され、衛生状態も入念なチェックを受け、全体として森閑とした気配さえ感じさせる趣があり、醸造家の精神が細部にまで行き届いていることが分かります。

洗練された味わいは、丁寧な畑の手入れの賜物ですが、2人は常に現代的な、あるいは既存の視点とは別の視点を持つことを心がけています。ティベリオ姉弟の目標はただひとつ、品種と産地を明確に語るワインを造ることです。