アンジェロ ガヤと並び称されるバルバレスコの名手ブルーノ　ジャコーザ

アンジェロ ガヤがフランスのワイン造りに習った革新的手法でその名声を築く裏で、余分な木の香りをつけない大樽での長期熟成というイタリア伝統の造りを守り、偉大なバルバレスコを造り続けてきたブルーノ ジャコーザが造るラインナップの中核をなすワインのひとつが、この「バルバレスコ アジリ」です。ブルーノ ジャコーザの自社畑のなかでも最もよく知られている畑で、1961年から瓶詰めされている、バルバレスコの名品中の名品です。

この畑は2つの特徴があり、一つは南向きの2.5ヘクタール、もう一つは南西向きの0.8ヘクタールです。南向きの畑からはフィネスのある上品なタイプ、南西向きの畑からは香りとタンニンが豊かなものが造られます。柔らかく広がるピュアな果実味、シルキーな質感、そして澄んだ長い余韻が、飲むものを深く深く引き込みます。2019ヴィンテージは『ジェームズサックリング』で98点を獲得しています！

『ジェームズサックリング』98点（2019ヴィンテージ）

「ミカン、熟したイチゴ、チェリー、花の甘くジューシーなアロマが、フルボディの味わいに続き、なめらかで濃密なタンニンがワインの長さいっぱいに広がる。果実の濃密で鮮やかなフィニッシュへと扇形に広がっていく。噛みごたえがあり、フィネスとエネルギーを備えた厳格なでシルキーなストラクチャー。少なくとも4、5年は熟成させる必要がある。飲み頃2027年以降（20220年4月）」

時間をかけてこそ本領発揮する極上のバルバレスコ

ガーネットがかったルビー色がとても魅力的です。香りはイチゴや赤スグリの華やかさにオレンジピールやホワイトペッパーとミネラルが溶け合う、涼しげで凛としたクールな印象です。飲むと果実の力強さと美しい酸、エレガントに広がるエキス分の高い旨味が感じられます。味わいは優しいタッチで口中に広がり、上顎へ伸びていくような立体的な広がりへと変化し、喉元へ落ちる時には素晴らしい余韻となり、非常に長く口中を支配します。時間をかけてこそ本領発揮する極上のバルバレスコです。大切なひと時にゆっくりと時間をかけて飲んでいただきたい逸品です。（2012ヴィンテージの試飲コメントより）

2019ヴィンテージ情報

冬が長く降雨が少なかったです。3月中旬まで平年より低い気温が続きましたが、降雨が多く土中に十分な水分が蓄積されました。成熟スピードは遅かったですが、6月に入り好天が続き気温が上昇。気温上昇と土中の水分により、植物活動が活発に進みました。7～8月の日中は暑く、時折降雨がありましたが問題ない程度で成熟が促進されました。9月の気温は、平年よりやや低かったですが、収穫前の10日間の気温上昇と強い日照により、2019ヴィンテージのクオリティが大きく上昇する余韻となりました。フェノール類の成熟が素晴らしいブドウの収穫ができました。

ブルーノ ジャコーザのオーナー、ブルーノ ジャコーザ氏が、88歳で2018年1月22日に永眠されました。

13歳から祖父のカルロ氏の指導の下でワイン造りに携わり始め、その後1961年に自分の名前を冠したブランド「ブルーノ ジャコーザ」をファースト・ヴィンテージとしてリリースしました。以来、半世紀以上に亘りワイン造りにその人生を捧げ、ランゲ地区の畑については誰よりも知り尽くしており、ブドウを試食しただけでどの区画のものか当てられるとまで言われていました。ブルーノ ジャコーザ氏亡き後も、その想いは娘のブルーナ ジャコーザ女史に受け継がれています。

ピエモンテのランゲ地区で3世代にわたりワインに携わってきたブルーノ ジャコーザ。ブルーノ ジャコーザ氏の祖父、故カルロ ジャコーザさんが自社で醸造瓶詰めしていたのが始まりです。父の代でもワイン造りをしていましたが、第二次世界大戦の戦中・戦後では経済的にボトルワインの市場がなく、瓶詰めを行わずに量り売りをしていました。ブルーノ氏は1929年生まれで、13歳から祖父のカルロさんと一緒に働き始めており、そして自分の名前「Bruno Giacosa」ラベルで瓶詰めされたファーストヴィンテージが1961年。こうして「ブルーノ ジャコーザ」が誕生しました。

今では半世紀以上にわたる経験を持ち、ランゲ地区の畑については誰よりも知り尽くしていると言っても過言ではありません。畑と醸造における伝統に敬意を払うという、単純にして明瞭な哲学の下に造られるワインは一貫したスタイルを貫いています。確固たるスタイルを持ったワインは世代や時代を超えて、「バローロのロマネコンティ」や「イタリアの5大シャトーの1柱を為す」など、世界中からイタリアを代表する生産者とされています。

ワインスペクテイターでは過去に90点以上を50回、うち100点を1回獲得。ワインアドヴォケイトでは90点以上を97回、うち98点を6回、99点を2回獲得しており、常にトップの座に君臨しています。ガンベロロッソでは過去に最高評価の3グラスを13回獲得。2010年度には「最優秀ワイナリー」にも選出されています。

※ブルーノジャコーザには自社畑のブドウだけで造る「ファッレット ディ ブルーノ ジャコーザ」と、購入したブドウから造る「ブルーノ ジャコーザ」という2つのブランドがあります。