38代続くフィレンツェの名門伯爵家が手がけ、1500年代からグレーヴェ イン キャンティでワイン造りを行う歴史的生産者「ヴィッラ カルチナイア」。彼らが造る甘口ワイン「ヴィン サント」です。クルミや干しイチジク、アプリコットを思わせるフルーツの香りが印象的。濃密な甘味のあるインパクトと美しい酸、ほろ苦いインパクトが重なり絶妙なタッチを感じさせます。

「つい、もう一口飲みたくなる味わい」

カナイオーロブレンドの10年熟成ヴィンサント

2025年6月、38代目当主ネリ カッポーニ氏にお話を聞きました。

「マルヴァジアとトレッビアーノ合わせて80％、カナイオーロ20％で造るヴィンサントです。カナイオーロ由来の酸によって、甘さに加えてスッキリした感じがあります。つい、もう一口飲みたくなる味わいなので、危ないワインですね（笑）。醸造に関しては、10年間何も加えず小樽で熟成しています。」

2025年6月にヴィン サント2012ヴィンテージを試飲しました。深く濃さのある琥珀色。砂糖が散りばめられたクッキーや杏、フルーツタルトの香り。フルーツケーキといった豊かな甘さを感じさせる味わいです。

伝統的なスタイルを貫くキャンティ クラシコ

伝統的なスタイルを貫くグレーヴェ イン キアンティの造り手「コンティ カッポーニ ヴィッラ カルチナイア」。歴史ある造り手で、この地方の統治者であったカッポーニ伯爵が、1524年に4つの畑を購入しワイン造りをスタートさせました。カルチナイアはそのうちの一つで、現在まで続く唯一の畑になりました。「アイア」とはトスカーナの方言で場所を指します。「カルチナイア」とは「石灰石が採れる場所」という意味があります。

絹商人として財を成しブドウ畑を購入

カッポーニ家は元々フィレンツェの南にあるオルトラルに住んでいましたが、1215年に書かれたフィレンツェの文献では既にカッポーニ家の記載があります。カッポーニ家は絹の商人として生計を立てており、当時の絹の商人が属す大きな組織を運営していました。絹の商人ながら、組織内でお金を貸付等を行い財を成して行き、1524年にグレーヴェ イン キャンティの土地を取得したのです。

約30ヘクタールの有機認証を受けたブドウ畑

215ヘクタールの所有地のうち、ブドウ畑は27.5ヘクタールを占め、標高230～300メートル。土壌は粘土、泥土、砂、ガレストロ、小石などが混在しており、全体的に石灰分を多く含んでいます。栽培はすべて有機農法で行われており、2014年ヴィンテージからは全てのワインで有機認証を取得しています。

ポッジョディソット、オルネッライアでエノロゴを務めたフェデリコ スタデリーニ氏を招聘

ポッジョディソットでジュリオ ガンベッリと共に働き、オルネッライアのエノロジストを務めたフェデリコ スタデリーニ氏をエノロゴに招聘。香り高く、繊細で優美。そして、ミネラル分が豊富な伝統的なスタイルのサンジョヴェーゼを生み出します。

荘厳なカッポーニ宮で撮影された映画『ハンニバル』

カッポーニ伯爵家が所有するフィレンツェ市内のカッポーニ宮は荘厳で、映画『ハンニバル』の舞台として撮影が行われたことで有名です。原作者トーマス ハリスが、伯爵と昔からの知り合いだったため、建物が作品のイメージにピッタリという理由で依頼。それを伯爵がこころよく承諾したため、実現しました。主演のアンソニー・ホプキンスは撮影滞在中ずっと、カルチナイアのワインを愛飲していたそうです。