アリアニコの銘醸地「ヴルトゥレ」や「タウラージ」に近いプーリア北部の丘陵地

サレント半島と丘陵地ボッカ ディ ルーポに土地を所有し、「海」と「丘」のプーリアの多様性を体現する造り手トルマレスカ。彼らがアリアニコで造るトップキュヴェ「ボッカ ディ ルーポ」です。ボッカ ディ ルーポの畑は、バジリカータのヴルトゥレやカンパーニャのタウラージに地理的に近いエリアにあります。属すDOCカステル デル モンテや、プーリアで造られているとは思えない、唯一無二の個性を誇る逸品です。

「これがプーリアワイン!?」固定概念を覆す唯一無二の個性

濃密な果実のアロマとスパイスなどの複雑な要素が幾層にも重なっています。口中にゆっくりと広がる旨みと果実味が魅力。しっかりとした骨格にまろやかさ、上品さが備わり余韻も長く続きます。知らずに飲むと「これがプーリアワイン!?」と衝撃を受けること間違いなしです！

ここにしかいない個性が際立つ地中海的アリアニコ

2025年4月、マーケティング責任者ヴィト パルンボ氏にお話を聞きました。

「ボッカ ディ ルーポはアニアニコで造られる非常に重要なワインです。アリアニコは、ネッビオーロと同様に長期熟成に適し、しっかりとしたタンニンを備えた品種です。アリアニコの主な産地には、火山由来の土壌のタウラージやヴルトゥレがありますが、ボッカ ディ ルーポは海由来の土壌です。そのため、このアリアニコは地中海的ブドウと言えます。スパイシーさだけでなく、ローズマリーやサルヴィアといった地中海の低木のニュアンスが感じられます。マセラシオンの際に種を取り除き、苦味や酸味を抑えて、シルキーな仕上がりにしています。

DOC内のワインや、他の産地のアリアニコとは個性がまったく異なるため、いわばサッシカイアDOCのように、単独でボッカ ディ ルーポとして打ち出したいと考えています。たとえば、チェルヴァロ デッラ サラやティニャネロを飲むときに、これはウンブリアのワインだ、キャンティのワインだとは思わないでしょう。むしろ、アンティノリが造るワインだと意識が向くはずです。ボッカ ディ ルーポも同様で、産地の枠を超えた唯一無二の個性を感じていただけると思います。畝ごとにセレクションを行い、収量も40クインターリほどに抑えています。同じDOCでも、まったく異なる世界観を持つワインに仕上がっているのです。」

2024年4月にボッカ ディ ルーポ2020ヴィンテージを試飲しました。濃いルビー色。バラを思わせる華やかで豊かな香り。飲むとエレガントな印象で、黒系果実やスパイスが感じられつつも、香り同様の華やかさがあり、繊細な余韻が続きます。それでいて骨格のあるスタイルで、爽やかさもあり、タンニンはこなれていて洗練された味わいが持続します。

石灰石と砂で構成された火山質土壌が特徴

ボッカ ディ ルーポの畑は、プーリアの州都バリ近く、ヴルトゥレ休火山に程近い場所にあり、昼夜の寒暖差が激しく、石灰石と砂で構成された火山質土壌が特徴です。130haのブドウ畑ではその温暖な気候を活かし全てオーガニックで栽培。イタリアで最も山岳が少ないというプーリアの平野に広がる、1列が約1kmにも及ぶブドウの畝は圧巻です。

フレンチオークの小樽で15ヶ月熟成、24ヶ月の瓶内熟成

手作業で厳格に収穫と選果。25-27度に温度調節されたステンレスタンクで15-18日間かけて発酵。その後フレンチオークの小樽で15ヶ月熟成。ボトリング後に24ヶ月の瓶内熟成を実施。リリースまでに3年以上の歳月を経て出荷しています。

名門アンティノリ家がプーリアで造るトップクオリティのワイン

トルマレスカの歴史は、1998年にトスカーナの名門アンティノリ家がワイン造りの可能性に満ちたプーリア州に土地を購入したことから始まります。アンティノリは1385年にトスカーナのフィレンツェでワインビジネスを始めたイタリアを代表する名門中の名門ワイナリーで、現在は26代目現当主、ピエロ・アンティノリ侯爵と3人の愛娘によってプーリア州トップクラスの素晴らしいワイン造りがなされています。

最上級のワインを造りだす可能性に満ちたプーリア州の魅力

ピエロ・アンティノリ侯爵はプーリア州の魅力について、「この地の太陽、土壌、大地、気候、恵み、歴史、文化、食事に可能性を感じただけでなく、この地にはたくさんのブドウ品種があり、 その数だけ挑戦できる。そして、プリミティーヴォ、ネグロアマーロ、アリアニコなどそれぞれにおいて最上級のワインを造り出せる可能性がある」と語っています。

トスカーナとウンブリアで培った経験と技術を駆使した魅力的なワイン造り

アンティノリの名声を築いた彼らのフラッグシップワインとも言えるのが「ティニャネロ」と「ソライア」で、イタリアワインの歴史を変えたスーパータスカンの先駆けとして知られています。トルマレスカでは「エレガントでトップクオリティのプーリア産ワインを造り出す」という信念のもと、アンティノリがトスカーナとウンブリアで培った経験と技術を駆使し、土着品種を使った魅力的なワインが生産されています。

テロワールの異なる2つの畑を所有

トルマレスカの大きな特徴は、テロワールの特徴がまったく異なる3つの畑とエステートを所有していることです。カステル デル モンテに位置する海由来の土壌を持つボッカ ディ ルポ、アドリア海沿いに位置する粘土質の土壌のマッセリア マイメ、DOCマンドゥーリアにあるテヌータ カッルーボ。異なる3つのテロワールから、個性の異なるワインを展開しています。