2023年3月21日放映の朝日放送『芸能人格付けチェック BASIC～春の3時間スペシャル』で白ワインと赤ワインを飲み比べるという問題に登場した「ブラウフレンキッシュ ルスターベルク」！出題者の野口智香ソムリエは「このワインは色合いは濃く、綺麗な酸があり、味わいはすっきりしていますが、普段ワインを飲み慣れている方ならわかると思います」と紹介。それでも解答者の半数が間違えて「白」と判断してしまう結果になりました。

造り手はオーストリア ブルゲンラントで代々農業を営む「エルンスト トリーバウマー」。葡萄畑の75％前後が赤ワイン品種を栽培しており、主に土着品種のブラウフレンキッシュに力を入れています。栽培地に適した葡萄品種の選択に際し、幾世代にもわたる経験をから最適な品種を最適な畑に栽培しています。土壌を健康に保つことは、調和のとれた体によいワインの基本的な前提条件であると考えています。発酵は野生酵母による自然発酵で、醸造はステンレスタンク（白の一部）と木樽（白の一部と赤）で熟成させています。

ルスターベルクの畑は標高140～200mの南東向き。収穫後、ステンレスタンクで20日間マセレーション。1100～3000リットルの木樽で6ヶ月熟成させます。

最近までルスターベルクの畑名は、マジックで黒塗されていました。公的審査機関からの指摘で、ルスターベルクの畑名が集合畑（グロースラーゲ）として公認されていないので、使用しないように指導されため、畑名を黒マジックで塗りつぶして抗議の意思を表明していたのです。2016年に集合畑名が公認され、黒塗りをやめた経緯があります。

トリーバウマー一族はもともとブックリゲン・ヴェルト地方のクルムバッハ周辺の出身で、初代トリーバウマーは1691年に対抗宗教改革の中でルター派の宗教難民としてルストに移住しました。ワイン農民の娘との結婚以来、トリーバウマー一族にとってワインは常に重要なテーマでした。幾世代にも渡る経験を通して、一族には農作業に関する知識と勘という基礎が出来ました。

世間に知られるようになったきっかけは1988年、雑誌ヴィナリアVinariaが世界の赤ワインをテーマにした品評会で、エルンスト・トリーバウマーの父が1960年代に植樹し、エルンストが醸造した1986年産ブラウフレンキッシュ「リート・マリエンタール」の優勝でした。このワインは現在もオーストリアでは伝説のワインとして語り継がれています。

ルスト周辺は本来貴腐ワインのルスター・アウスブルッフの名産地として知られていますが、トリーバウマーは約20haのブドウ畑のうち75％を赤ワイン用品種（50％ブラウフレンキッシュ、残りはカベルネ ソーヴィニヨン、メルロなど）と辛口の白（シャルドネ、ソーヴィニヨン ブラン、ヴェルシュリースリング、グリューナー ヴェルトリーナー）を栽培。環境に対する意識が高く、土壌を健康に保つ為には労を厭いません。CO2排出量を抑えるためトラクターの使用を出来るだけ避けて、耕耘の回数を減らし、ブドウ畑に羊を放し飼いにして除草と除葉と堆肥を与え、ミツバチを養い、鳥の巣箱を設置し、野菜を育て、豚も飼い、農地全体の調和とバランスを考えて経営しちえます。ノイジードラー湖に近い畑では甘口の貴腐ワイン用を、ルストの南西の珪岩、粘板岩、片麻岩、結晶片岩に粘土が混じる畑では辛口白用のブドウを、ルストの北の貝殻石灰質が多く含まれる畑では赤ワイン用品種を栽培。手作業で選び抜いた収穫を、バリック樽を多用して必要なだけ十分な時間をかけて醸造。現在はエルンストの二人の息子達がワイン造りの伝統を継いでいます。