アーゾロの土着品種だけにこだわる造り手フィリッポ コスタ

ヴェネト州アーゾロの造り手フィリッポ コスタがこのエリアの歴史的土着品種レカンティーナ主体にペーコロ スクーロをブレンドして造る赤ワイン「カ ペーザロ ロッソ」です。ステンレスタンクで11日間マセレーション後、ステンレスタンクで16ヶ月間熟成させます。畑は標高140mの南向きで石灰質の礫岩を含む粘土砂質土壌。1960年に植樹された古樹もあります。塩味のある、バランスの取れた広がりのある旨味溢れる味わいをお楽しみ頂けます。

古くから存在しながら忘れ去られた品種レカンティーナ

レカンティーナは、トレヴィーゾに古くからある土着品種。その歴史は非常に古く1600年代の終わりごろの文献にも登場、1874年にはトレヴィーゾとアーゾロの固有品種としての記録も残っています。フィロキセラで滅亡の危機にさらされ1900年代以降はその名前が世に出ることはなく、忘れ去られていました。しかし、ラボーゾと混同されることも度々ありながらもアーゾロの丘陵地で生き残り、長年の研究によって復活を遂げました。

畑「カ ペーザロ」について

「カ ペーザロ」は、石灰質の礫岩を含む粘土砂質土壌の平地の畑。16世紀にヴェネツィアのペーザロ一家が住んでいた別荘の名前から付けられています。クレスピニャーガのすぐ北、アゾラーニ丘陵の麓に位置。フィリッポは、この別荘のすぐ目の前にある、一部樹齢60年を超える古木の植わる畑を1ha借りて栽培しています。何世紀にもわたりこの丘陵地帯で生きてきたヴェネツィア人一族を偲んでこの名前を付けました。

ヴェネト州トレヴィーゾの街から北西のアーゾロにあるワイナリー。当主のフィリッポ コスタは同地域の出身で高校を卒業するころからワイン造りへの興味が強くなり、農業高専へ進み、その後パドヴァ大学でも栽培と醸造学を修めました。生まれ育った地域でのワイン造りを当初から考えていたフィリッポは在学中の2009年から、アーゾロのワイナリーで働き、卒業後も栽培、醸造コンサルタントとして活動してきました。その後2017年に、家の一部をセラーとして少量ずつワイン造りを始めます。両親は農家ではなかったが、彼の祖父は牛を飼う小さな農家で、ブドウ栽培のために畑に立つことは祖父との対話でもあり、自身のルーツを感じることのできる大切な時間とのこと。

栽培学と醸造学を修め、長らく醸造コンサルタントとしても働いてきたフィリッポですが、目指すべきワイン造りはあくまでコンタディーノ（農民）の造るワイン。尊敬するワイナリー、感動したワインとしては、ブルネッロのソルデラ、バローロのリナルディ、そしてガッティナーラのマルコ ペッテリーノ。また同地域で卓越したプロセッコを造るカー デイ ザーゴのクリスチャンも共にワインを飲む交わす仲。昔ながらの農民のワインという点においても学ぶべき点の多い同世代の生産者として尊敬している、と話します。

フィリッポは自身がヴェネツィア人であるという自己認識を強く持っていて、ヴェネツィア人によって見出されたコッリ アゾラーニの丘に畑でのワイン造りにこだわっています。品種も全て土着品種のみで、白品種はグレラ、ビアンケッタ トレヴィジャーナ、ラッビオーザ、赤品種はレカンティーナ、ペーコロ スク―ロそしてレカルディーナというフィリッポが独自に研究を進めてきて、2020年に植樹した赤品種も栽培。畑はラ フランツァとカ ペーザロという2か所の畑を所有、所有敷地面積は7ha、そのうち 3.8haがブドウ畑でビオロジック農法で栽培。畑のエリアはアーゾロ プロセッコ（Asolo Prosecco）のエリアにあり、もしスプマンテを造ればDOCGも取得可能ですが、フィリッポはあくまで“ヴェネツィア人達の愛した”この地域のスティルワインにこだわっています。