カンパーニャのライジングスターと目される「ティネッサ」がフィアーノから造るワイン、エキゾチックでややトロピカルな印象、タルトアップルやネクタリンの果実味が広がる「オニョストロ ビアンコ」です。ティネッサは2007年からの10年間、シチリアのナチュラルワインの第一人者フランク コーネリッセンのもとに収穫したブドウを運び、コーネリッセンのサポートを受けながらワイン造りをしていた造り手。師であるコーネリッセンから学んだ「ブドウ本来のピュアな味わいを表現する」という哲学のもと、樽は一切使わず、ブドウとテロワールそのものが際立つワインを造ります。

スワリングすると、キャンディジンジャー、焼けた薪、サワーメロン、乾燥した花の香り。活き活きとした酸味がエネルギーを与え、塩味を伴うミネラルが徐々に口中を満たします。余韻は非常に長く、柑橘系の凝縮感と花のニュアンスが残ります。

収穫は手摘み。除梗し2日間ファイバーグラス製容器またはコンクリートタンクにてマセラシオン。野生酵母を用いてコンクリートタンクで発酵。アンフォラとコンクリートタンクで10カ月熟成。20%全房。3-4週間マセラシオンを行い225 Lのバリックで野生酵母を使用し発酵。無濾過・無清澄で瓶詰。1年間瓶内熟成を行いリリースされます。

カンパーニャ州出身のマルコ ティネッサは、ミラノで働いていた金融マンでした。30歳頃からワインの魅力に引き込まれ、持ち前の行動力と社交性で数多くの生産者を訪ね歩き、やがて、自らもワインを造りたいという想いが芽生えます。

そんな中、知人の紹介で故郷から約50km離れたイルピニア地方のモンテマラーノにある高樹齢のブドウ畑を入手することができたのですが、醸造設備が手元にない。そこで頼ったのが、各地を訪ね歩いていた際に面識を持ったナチュラルワイン界の第一人者、フランク コーネリッセンでした。そこで「場所がないなら、うちでワインを造っていいよ」という想定外の申し出を受け、2007年からの10年間、収穫したブドウをシチリアに運び、コーネリッセンのサポートを受けながらワイン造りを開始します。

2017年、コーネリッセンのセラーが手狭になり新たな醸造拠点を探す必要に迫られると、今度はピエモンテの名門カッシーナ フォンタナから「それなら、うちで造ってもいいよ」と声がかかり、醸造拠点を移します。その後もミラノの自宅で仲間とワインを仕込むなどの試みを重ね、2020年に念願の自前セラーを畑近くに確保。2021年ヴィンテージからは、ようやく畑と醸造所の一体運用が実現しました。

偉大な生産者に学んだ、ブドウの味を表現するワイン造り

師であるコーネリッセンから学んだ「ブドウ本来のピュアな味わいを表現する」という哲学のもと、コーネリッセンと同様、樽は一切使いません。発酵と熟成にはアンフォラやガラス容器を用います。

マルコは「醸造の過程でもできる限りニュートラルでありたいと思っている。野生酵母を使用した自発的な発酵から始まり、セラミックのアンフォラやコンクリートタンクなど、ブドウやテロワールに余計な影響を与えない容器を選ぶ。そして必要に応じて、発酵後にほんの少しだけ亜硫酸を加える。これらはすべて、その年ごとのブドウの個性を最大限に引き出すための工夫なんだ。」と語ります。

今後も目が離せないカンパーニャのライジングスター

マルコがコーネリッセンの下で最後に造ったLast Trip to Sicily 2016年ヴィンテージはワイン評価誌Vinousで紹介され初掲載で93点を獲得しました。その後もマルコの旅路を追いかけ続けてきたエリック グイド氏はオニョストロ ロッソ2018年ヴィンテージのテイスティングコメントとともに次のように紹介しています。

「マルコ ティネッサは決して“一発屋”ではなく、フランク コーネリッセンの名声に頼っているわけでもない。これは特に2018年ヴィンテージのオニョストロ ロッソを味わったときに、はっきりと感じられた。この年は、収穫期に激しい豪雨に見舞われた年だが、木樽を一切使わずに造られたこのワインを口にすると、感じられるのは果実そのものの品質の高さだけ。これは、ブドウの品質とマルコの介入を最小限に抑えたワイン造りの真価を証明するもの。今後の動向に注目すべき存在、カンパーニャのライジングスターのひとりであることは間違いない。」