トレンティーノ アルト アディジェのワイン造りは長く協同組合が牽引してきました。その中でフランツ ハースは1880年からエステートワインの製造を開始した先駆者。現在40haの自社畑と20haの借用地で葡萄園を耕作。1980年代には既に多産型のペルゴラから収量の管理を行い易いグイヨに変更するなど葡萄品質の向上に早くから取り組んでいます。マンナ ヴィニェーティは リースリング レナーノを主体に5種類のブドウをブレンド。複雑な味の変化を見せる白のトップキュヴェです。2016年から2021年まで『ビベンダ』で最高賞5グラッポリを獲得。そして2020年ヴィンテージは『ビベンダ2023』でイタリアワインベスト10に選出の実績を誇っています！

5種のブドウをブレンド

平均樹齢15-25年のリースリング レナーノ40%、シャルドネ20%、ゲヴュルツトラミネール15%、ケルナー15%、ソーヴィニヨン10%をブレンド。発酵はステンレスとバリックにて行い、その後ステンレスタンクにて10ヶ月熟成、瓶内熟成3ヶ月を経てリリースされます。

白桃、パイナップル、ハーブ、バニラ、バター、蜂蜜、トースト、ビスケットの香り！

鮮やかで輝きのあるうちに緑色を感じる麦わら色粘性の強さはかなりしっかりしています。完熟した白桃やパイナップルのような果実香と野菜やセージなどのハーブのような香りが主体。またバニラやバター、蜂蜜、トーストしたパン、焼きたてのビスケットのような香りも感じ取れます。豊かな果実味が口いっぱいに広がるしっかりとしたミネラル分を骨組みとし、キレとまろやかさのバランスのとれたしっかりとした酸味で、長い余韻を楽しむことができます。

1880年からワイン醸造を始める

生産者協同組合で造られるワインが多くを占めるトレンティーノ アルト アディジェ州にあって1880年からフランツ ハースはモンターニャでエステートワインの製造に携わってきました。

7代目当主フランツ ハース氏

ワイン造りが時間を越え、綿々と続く気の長くなる作業であるのと同様に、代々長男がフランツ ハースの名を継承して現当主が7代目となります。少しづつ畑を購入し続け、今日では自社所有と貸借した畑を加え50ヘクタールにまで広がっています。収量をしっかり抑えて果実味豊かなワインを産み出す生産者として着実に力を蓄え、個々のワインで高い評価を受けるようになり、さらなる品質の向上を目指しカンティーナの大改修を行っています。

様々な種類のブドウの栽培を可能にする複雑な土壌と恵まれた日照

アルト アディジェ州のブドウ畑を考える上で避けて通れないのがその土壌の複雑性にあり、班岩や石灰岩が複雑に入り組む粘土質土壌は様々な種類のブドウの栽培を可能にしています。それをふまえた上で、フランツハースの畑の位置するアテジーナ低地は全DOCの栽培面積の1/3、約1700ヘクタールのブドウ畑を抱え、トレント県との境まで連なるアディジェ川をはさんで左右に広がる最も日照に恵まれた地域と言えます。

土壌の違いから川の西側コルタッチャ村近辺ではカベルネやメルローにモンターニャ村、エーニャ村のある東側はピノ ネーロの栽培に向いています。一方白ブドウで重要なのは名前の由来となったトラメーノ村を中心にしてトラミネール アロマティコが最重要品種で、所有するブドウ畑はアテジーナ低地のモンターニャ村とエーニャ村のチソン山の斜面に点在して所有しています。新たに購入した6ヘクタールの畑は標高800メートルを越える高地にあり興味深いミクロクリマを持っています。

フランツハースでは1982～1986年にかけて栽培の根本を揺るがす大きな変更を行いました。それはこれまでのこの地の主流であったテンドーネ方式からグィーヨ方式へ剪定方法を移行するとともに、1ヘクタールあたりの密植度を6500本から12500本まで品種により高密生を行っています。

「エレガントさとフィネスを兼ね備えたワイン」

フランツにとってワイン造りの基本姿勢は土壌のミネラル感をその骨格とし個々の品種個性を損なうことなく果実味を閉じ込めエレガントさとフィネスを兼ね備えたワインに仕上げることにあります。近年のマーケティング重視で造られた厚化粧したワイン、例えばセニエやロータリー・ファーメンターを使用して濃厚な色彩を抽出したりなどは決して行わず、よりナチュラルで土壌と果実の個性を実直に見つめ、細心の注意をはらい丁寧に仕込まれています。フランツ ハースが最も心血を注ぐピノ ネーロなどは畑の区画ごとに分けて醗酵からおこない、その特性にあわせ小樽の製造業者やローストを変えて熟成、最後にアッサンブラージュを行う等、きめ細かい対応によって完成度の高さを産み出しています。

『イスタンテ』はカベルネ、メルロー、プティ・ヴェルドといった典型的なボルドーブレンドながら、 この地の特異性を感じさせる味わいです。ハース夫人の名を冠した白の『マンナ』はリースリング･レナーノ、シャルドネ、ソーヴィニヨン、そして遅摘みのトラミネール・アロマティコをブレンドした魅力有る特別キュヴェとして高い人気を誇ります。