バルバレスコ村のモノポール「カ グロッサ」を所有し、夫婦二人三脚で歩む若手生産者「ラ ヴェデッタ」。「バルべーラダスティ」は、赤系果実にブラックベリーやバラの印象。アタックはさわやかで生き生きとしています。穏やかなタンニンによる優しい口当たりで、直線的な酸が中盤から後半にかけて伸び、長い余韻が続きます。2022年ヴィンテージに比べアルコール度数が2 %下がり、よりバランスがとれた仕上がりとなっています。

『デカンター』で2017年ヴィンテージが「ネッビオーロ以外のピエモンテ赤ワイントップ40」に選出された実績もあります。2017年ヴィンテージでは樽を使用していましたが現在はコンクリートタンクのみの醸造となっています。

ラ ヴェデッタを営むのはピエモンテのバルバレスコ村出身のマルコとドイツの小さな町フォーゲルスベルク出身のスワンヒェの夫婦。ブドウ畑はバルバレスコ村に2ha、隣接するカスタニョーレ デッレ ランツェの丘「サランジーノ」に1.5haを所有し、ネッビオーロやバルベーラ、フレイザをオーガニック農法で栽培しています。その中には彼らの家族が単独所有するバルバレスコ村のモノポールCa Grossa（カ グロッサ）があり、クリュ バルバレスコが造られています。

故郷の良さを再発見しワイン造りを決意

マルコは元々ドイツの会社で事務職をしていましたが、多忙な日々に追われる中、久しぶりの休暇で地元へ戻ったことをきっかけに故郷でワインを造ることを決心します。「慣れ親しんだ景色が不思議と輝いて見えた。心が一瞬で満たされるようだった。けれどこの美しい景色は変わらず昔からずっとここにあった。ただ変わったことがあるとすれば僕の疲労感と故郷が世界遺産に登録されたことくらいかな。」とマルコは話します。

元々祖父が所有していた土地はマルコの叔父が引き継いでおり、叔父は祖父が1950年代に植えたヘーゼルナッツの栽培に注力していました。ブドウ畑は他の農家に貸していましたが、祖父が大切にしてきた畑を守るため、そのブドウ畑ではオーガニック農法を行うことを条件にしていました。叔父はマルコのワインを造りたいという夢を聞いてとても喜んだそうです。ブドウ畑の借主を何度も説得し、少しずつ畑を返還する了承を得てワイン造りをスタートさせました。

オーガニック農法と生物多様性

ブドウ畑は森やヘーゼルナッツの木に囲まれているため生物多様性が守られています。畑を歩くと多くの昆虫や植物の活き活きとした生命の輝きを感じることができます。マルコとスワンヒェは、祖父から引き継いだ美しい土地の生物多様性を守るため徹底したオーガニック農法でブドウを栽培。ブドウだけでなくワイナリーの庭にある野菜畑でも農薬は一切使用しません。サラジーノの畑においても同様のアプローチをしています。