キャンティクラシコ地区最大の所有畑を土壌分析する「クリュプロジェクト」によって誕生したメルロー100％「カザルフェッロ」

キャンティクラシコの名門、バローネリカーゾリの「カザルフェッロ」。ワイナリー自ら「1990年代からワイナリーが生まれ変わるために追求してきたことの最終形となるワイン」と自信を持って表現するクリュメルローです。あえて表ラベルにはメルローとは表記せず、あくまでも“キャンティクラシコ地区のテロワールワイン”であることにこだわる、バローネリカーゾリの強い気持ちが表れているワインです！

キャンティクラシコエリアのテロワールワインだという考えから、表ラベルにメルローの表記はしていない

バローネリカーゾリがキャンティクラシコ地区に所有する240haの畑を土壌の特性ごとに分類。最適な品種を最適な土壌で育て、「クリュワイン」として完成させていきました。カザルフェッロは同じ名前の畑で造られるメルロー100％の赤。標高300～400mにある24haの単一畑から約35000本という通常の5分の1程度の本数しか造っていない、選別に選別を重ねたブドウで造っています。

2018年10月に現当主フランチェスコリカーゾリ男爵にお話しを聞きました。「カザルフェッロの畑はサンジョヴェーゼの古樹があり、そこからサンジョヴェーゼ100％のIGT（当時はテーブルワインカテゴリー）でリリースしました。1993年にメルローを植樹して、徐々にサンジョヴェーゼとブレンドしていったのです。樹齢も上がり、この畑のメルローの個性が際立ってきたこともあり、また、サンジョヴェーゼ主体のワインをいくつも造っても、ということから2007年にメルロー100％でリリースしました。通常、トスカーナだといい条件の畑にはサンジョヴェーゼを植えるのですが、このカザルフェッロはメルローにしました。メルロー100％のワインではありますが、表ラベルにはメルローとは表示をしていません。これは、いわゆるバラエタルワインではないからです。あくまでもキャンティクラシコエリアのテロワールワインだと言う考えです。」

黒い果実やスパイシーなニュアンスのある香り。とてもまろやかで豊かな果実味を感じる上品な味わいで、タンニンもエレガントでバランスがとれています。余韻もとても長く続きます。さらに時間をおくとよりクリーンで洗練された印象へと変化。「ブラインドで飲むとこれがメルローだとわかる人はほとんどいないんです。」とリカーゾリのマーケティング担当のステファノさんは言います。それは、やはりキャンティクラシコという土地が持つ個性が本当に強いということ。

テロワールの個性を明確に表現し、力強さと複雑味をもちあわせた豊かな果実味。メルロー好きの方にも、キャンティクラシコファンの方にも、ぜひ味わっていただきたい素晴らしいワインです。

キャンティクラシコの伝統地区ガイオーレ イン キャンティにあるブローリオ城を拠点に1000年に及ぶ歴史を持つリカーゾリ家。現在のキャンティワインの基礎となる造り方を築き上げ、イタリア王国の首相も務めた“鉄の男爵”ベッティーノ　リカーゾリは現オーナーの祖先です。

1990年代以降、現オーナーのフランチェスコ リカーゾリ男爵が改革に着手し、その品質は目を見張るほどに向上。そして、イタリア国内外のワインガイドで高い評価を獲得し続けています。

2000年にはブローリオの土地のミクロクリマ(そのエリアでの気候条件）に完璧に適したサンジョヴェーゼを造り上げ、フラッグシップである「キャンティ クラシコ カステッロ ディ ブローリオ」をリリース。リカーゾリの復活を成し遂げました。

フランチェスコ　リカーゾリ男爵が改革に着手して20年目を迎えた2013年にはそれまでに進めてきたプロジェクトの成果を発表。まず、ボルゲリ地区での新しいワンづくりへの挑戦として「ボルゲリロッソ」をリリース。そして、キャンティクラシコ地区で所有する250haの畑を土壌の特性ごとに分類。最適な品種を最適な土壌で育てたクリュワインとしてカステッロ ディ ブローリオ、カザルフェッロ、コッレディラの３つを完成させました。伝統あるキャンティの造り手として、またスーパートスカンと呼ばれるモダンなテイストのワインの造り手としてさらなる発展を続けているワイナリーです。