カナイオーロ100％の赤「トラフィオーレ」

有機農法でサンジョヴェーゼらしい強くも美しい酸とミネラルが魅力的な「ポッジョアルソーレ」が造る珍しいカナイオーロ100％の赤「トラフィオーレ」です。

カナイオーロはトスカーナ、ラツィオ州を中心に栽培されているサンジョヴェーゼのブレンド用として使われる事が多いブドウです。今日のキャンティの基礎を造ったとされるリカーゾリ男爵がサンジョヴェーゼのアグレッシブな酸やタンニンを和らげる為にマルヴァジーア、カナイオーロをブレンドさせて造った歴史があります。

カナイオーロ単体でリリースされる事は珍しく、「トラフィオーレ」は2013年からボトリングされたキュヴェで、年産2400本程しかボトリングされていません。

華やかさと清々しさ。ピノノワールを彷彿させるエレガンス

2018年10月に2016ヴィンテージを試飲しました。透明感のある美しいルビーの色調に、ラズベリーや、赤スグリの小さな果実の華やかな香り、清々しいミネラルと石灰の清らかなニュアンスが綺麗に重なり、ピノノワールを彷彿させるエレガンスに溢れています。

飲むと、伸びやかな酸味と非常にキメ細やかな渋味、じわりじわりと広がる滑らかな果実感。ピュアでジューシーな果実の染み入るような旨みがあり、派手さは無いものの、スレンダーで流れるような美しいボディラインが感じられます。

声高に自らを主張するようなタイプではなく、味わいの旨みが「ジワッ」とあとからさしてくるような優しさがあります。カナイオーロ単一で実に見事なエレガンスが感じられる逸品です。軽く冷やしても楽しめます。30分から1時間前の抜栓がおススメです。

ポッジョ アル ソーレはスイスのワイナリーに三男として生まれたジョヴァンニ ダヴァズ氏が、タヴァルネッレ ヴァル ディ ペサで1990年に設立したワイナリーです。畑はタヴェルネッレヴァルディペサとグレーヴェインキャンティの間に位置していて、良質なキャンティの畑に見られる水はけの良いガレストロ土壌です。このエリア（バディア ア パッシニャーノ）には12世紀よりブドウとオリーブが栽培されていたという文献も残っています。

この恵まれた土壌を活かす為に自然派農法を良識的に判断しながら有機農法を実践しています。そして完熟葡萄の果実味とサンジョヴェーゼらしい強くも美しい酸とミネラルが調和したスタイルのキャンティ・クラッシコを生み出します。

ワイナリーを始めた当初は「スイス人の若造」という理由だけで苦労もありましたが、8年後の1997年ヴィンテージがガンベロロッソより3ビッキエーリを獲得した事によりキャンティクラシコの秀逸な生産者として認められるまでになりました。高密度（6000～7000株/ha）に植えられた16haの畑を徹底的に世話をするジョバンニ氏の仕事ぶりは誰もが知るところ。カサシリア2003がスーパートレステッレとチンクエグラッポリを受賞したことでますます評価を上げていきました。